開幕3連戦で勝ち越したDeNAと、負け越した阪神の勢いの差が、そのまま勝敗に表れたような試合になった。その中でも一番分かりやすかったのが、DeNAの1番・度会を巡る攻防だった。

阪神の先発・村上は、昨年のMVP選手。プロでの活躍は、まだ昨年だけとはいえ、昨年のNO・1投手が今季、どういうピッチングをするかを注目していた。しかもDeNAの1番打者は開幕3連戦で2ホーマーしたルーキー度会。楽しみな対決で始まった。

初球の真っすぐは見逃しのストライク。村上といえば真っすぐがスライダー回転する“くせ球”で、左打者の内角に食い込んでくるカットボールとともに、左打者はどうしても内角への意識が強くなる。外角の真っすぐはそれほど厳しいコースや高さではなかったが、見逃した度会の意図は、阪神バッテリーも想像していただろう。

それでも、初球から積極的に振ってくるバッターが真っすぐを見逃すと、何か狙い球を絞っているような気がして、慎重になるときがある。ただでさえ、開幕3連戦で大活躍した度会は、ミーティングでも要注意マークをつけられて「勢いをつけるな」と言われていたと思う。1ストライク後は丁寧に低めに投げようとしすぎてすべてボール。開幕直後の緊張感もあっただろうが、最悪の四球を与えてしまった。

この後は、悪い流ればかり。1死一、三塁からは、佐藤輝がサードゴロをはじいてタイムリーエラー。0点で終わるはずが1点を失い、その後も3点を追加されてしまった。今試合の球審は右打者の外角のゾーンが厳しく、村上のような横の揺さぶりで攻める投手は厳しくなる。しかも今試合はスプリットの落ちも悪かった。投手のジャクソン以外で14球を投げたが、空振りはオースティンへの1球だけ。高低や緩急でかわす投球もできなかった。

チームとして度会をマークするのは当然だろう。しかし、マウンドに上がった投手は、攻める気持ちが大事。度会の5打席目、リリーフで登板した門別は、気迫あふれるピッチングで空振り三振に仕留めた。要注意とはいってもルーキー。村上も昨年は、そういう気持ちで投げていただろう。門別のように「打てるもんなら打ってみろ! 」という気持ちを忘れないでほしい。

度会は2回にセカンド内野安打で、4回にも四球で出塁した。初回以外は得点に絡まなかったが、1番打者としての役割は十分にこなし、チームの勝利に貢献。新戦力のジャクソンも評判通りの好投手。真っすぐに力はあるし、制球力もまずまずで、DeNAにとっては言うことなしの勝利になった。

少し心配なのは、阪神の戦いぶりだった。1点を返した直後の初回無死一塁、2球目に中野が盗塁してアウトになった。初回であり、得点差を考えれば痛恨だった。ジャクソンはけん制球やクイックが得意ではなさそうだが、走るのであればアウトになってはいけない状況だった。2回裏も先頭打者の佐藤輝が四球で出たが、続くノイジーが併殺。出ばなをくじかれるような戦いになってしまった。

いいところが出たDeNAと追い上げたが悪い部分が出た阪神。それでもまだ始まったばかり。今後の戦いがどうなるのか? 楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)

阪神対DeNA 1回表DeNA無死、度会は四球を選び出塁。投手は村上(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 1回表DeNA無死、度会は四球を選び出塁。投手は村上(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 1回表DeNA1死満塁、打者関根を迎えたところでマウンドに集まるナインと村上(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 1回表DeNA1死満塁、打者関根を迎えたところでマウンドに集まるナインと村上(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 1回表DeNA2死満塁、山本に3点適時三塁打を浴びた村上(撮影・前田充)
阪神対DeNA 1回表DeNA2死満塁、山本に3点適時三塁打を浴びた村上(撮影・前田充)