巨人が優勝争いをするための絶対条件に「菅野の復活」は欠かせないと思っている。全盛期の投球を復活させろとは言わないが、2ケタ勝利は必須だといっていい。まさか開幕6戦目まで先発がないとは思っていなかったが、3連敗中のチームの救世主となった。

ここ数年、菅野のピッチングには歯がゆさを感じていた。完璧を求めすぎる性格なのだろう。得点差があまりない状況では、どんな打者に対しても完璧に抑えようとするあまり、コースのギリギリを狙って全力投球するイメージがあった。勝てないパターンを挙げるなら「初回から飛ばしすぎて後半にスタミナ切れ」や「ギリギリのコースを狙いすぎてカウントを悪くして痛打を浴びる」が思い浮かぶ。

今試合のピッチングは、いつもの「息苦しさ」がなかった。その証拠、カウントが2ボールになったのは、初回の先頭打者・三好と、7回2死からの細川に対しての2度だけだった。コーナーのギリギリを狙ってカウントを悪化させなかった。

個人差はあるだろうが、バッターが一番思いきってバットを振れるカウントは、1ボールか2ボールだと思っている。私のような長打が少なく、チーム打撃を期待されるようなタイプは、1ボールがバットを振りやすいカウントだったし、長打を期待されるようなバッターはより甘い球が期待できる2ボールの方が好きなカウントになるだろう。そうやって考えると、バッテリー側からすると1ボールで危険な勝負をし、2ボールからさらに危険な勝負をすることになる。

今試合の菅野は大胆にストライクゾーンで勝負していた。広いバンテリンドームで、積極的にストライクゾーンで勝負しやすい面があっただろう。それでも、このような投球ができれば、2ケタ勝利の期待が十分できる内容だった。

菅野の逆でもったいないピッチングになったのが中日の先発・梅津だろう。指摘するまでもないが、痛恨だったのが3回の先頭打者・菅野に与えた四球になる。投手に投げるため、やや力を抜いて投げたのが制球を崩した理由なのだろうが、勝負を決める2失点につながってしまった。

2年連続最下位の中日がAクラス入りを狙うためには昨年、トミー・ジョン手術から復帰した梅津が勝ち星を稼いでくれないと厳しくなる。今季の初登板が101球で、もう1イニング少なくてもよかったが、大事に起用されれば2ケタを勝てる力量は備えている。

菅野も梅津も開幕6試合目の先発だったが、投球そのもので見るのなら、決して「先発6番目」の投手ではない。チーム浮上のカギを握っている。(日刊スポーツ評論家)

中日対巨人 6回裏、力投する巨人先発の菅野(撮影・森本幸一)
中日対巨人 6回裏、力投する巨人先発の菅野(撮影・森本幸一)
中日対巨人 7回裏、力投する巨人先発の菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 7回裏、力投する巨人先発の菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 力投する巨人先発の菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 力投する巨人先発の菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 1回裏中日2死二塁、中田を中飛に仕留めた菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 1回裏中日2死二塁、中田を中飛に仕留めた菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 6回裏中日2死一塁、田中を投ゴロに仕留める菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 6回裏中日2死一塁、田中を投ゴロに仕留める菅野(撮影・江口和貴)
中日対巨人 7回裏、声を出し力投する巨人先発の菅野(撮影・森本幸一)
中日対巨人 7回裏、声を出し力投する巨人先発の菅野(撮影・森本幸一)
中日対巨人 1回裏終了後、言葉を交わす巨人先発の菅野(左)と捕手小林(撮影・江口和貴)
中日対巨人 1回裏終了後、言葉を交わす巨人先発の菅野(左)と捕手小林(撮影・江口和貴)
中日対巨人 試合終了、菅野(右)を迎える阿部監督(撮影・森本幸一)
中日対巨人 試合終了、菅野(右)を迎える阿部監督(撮影・森本幸一)
中日対巨人 勝利した巨人菅野は小林(右)とタッチを交わす。左は重信(撮影・森本幸一)
中日対巨人 勝利した巨人菅野は小林(右)とタッチを交わす。左は重信(撮影・森本幸一)