キャンプに足を運ぶと、シーズン中には気づかないことまで見えてくる。広島は第1クール2日目で、常広、高橋、斉藤がランチ特打に登板した。
常広のピッチングにはそれほどの力感はうかがえなかった。それでいて、かなりの出力。力の伝え方がうまい。そしていいボールと失投の誤差が小さく、安定している。素材の高さを感じさせる。
野球において、投手も野手も同じことが言えるが、見た目は力感が少ないが、高出力が出るプレーが理想的と言える。投手は先述した通りで、野手でもミートまでのスイングに力みがなく、軽く振っているように見えるが、打球は失速しない。こういうバッティングをされると、相手からすると非常に怖い。
まだキャンプがはじまったばかりで、常広の動きを見ていると、そうしたちょっとした体の使い方、バランスの取り方にセンスを感じる。そして、力感少なく、高出力という投げ方はケガをしづらいという効果もある。
対して斉藤は、常広と比べるとまだいいボールと失投の誤差が多く散見され、安定さを欠く。一方、力感がみなぎるからこそ、ドーンと重く見える球筋もひとつの特長として光った。もう少し、フォームの力感と出力にいい関係性が出てくると、重そうな球威はより武器になるだろう。
高橋は左手の使い方が良かった。ボールの出どころも見づらく、フォームのバランスもいい。球筋がいいのは、リリースが安定しているからだろう。広島は左腕豊富で1軍枠は激戦区。勝ち抜くには、少なくともキャンプの最初からアピールするしかない。自分の立ち位置をよく理解している。
広島は昨年9月、5勝20敗の大失速で優勝争いはおろか、Aクラスから転げ落ちた。その要因のひとつに、投手陣が勝負の秋口に疲労で力を発揮できなかったことがある。
同じ轍(てつ)を踏まないためにも、ゆとりローテーションを構築し、最終盤での息切れを防がないと。そのための常広、高橋、斉藤の台頭ということになる。昨季7勝の九里は抜けたが、私は悲観していない。穴を埋める兆しは見えている。(日刊スポーツ評論家)




