いわば、巨人はバックストレートから最後のコーナーを全力で回っている。ここから先は、フォームがどうの、スタミナがどうのと言ってられない。まさに正真正銘のラストスパートだろう。

広島戦も、言うなれば、岡本のホームラン、ホームラン、そして山崎の連続タイムリーで勝った。リアルにそれだけで勝った試合だ。投手の連続タイムリーで3打点など、ミラクルという勝ち方だ。つまり、今の巨人は形にこだわる余力もなければ余裕もない。

内容もへったくれもない。試合を見ていても、ここから先は巨人ベンチの見極める力が真に試される8試合になる。今の打線で固定されるのは泉口、岡本、岸田の3人だけだろう。あとは、その日その日の状態を見て、ベンチが決断し調子のいい選手から順番で使っていくしかない。

この流動性をポジティブに受け止めるか、試練と考えるかの違いはあるのだが、それを憂えている状態ではない。極端に言えば、内容が悪くても勝てばいい。そういう局面だ。この日で言えば、岡本はさすがだなと要約できるし、逆に言えば打線のつながりがとか、大瀬良を攻略した狙いとは、などの伏線を語る必要もない。

9月に入り、先発陣も救援陣も軒並み防御率は4点台と苦しみ、それをなんとか打線が援護するという形でしのいできた。先発も疲れもあるし、ここに来て調子を上げてきた柱となる存在もいない。

日程的に5連戦までしかないことを前向きにとらえ、状態のいい投手から使い、全員野球に近い形でどんどん投入しながら、何とか大勢、マルティネスにつなげる、そういう戦い方しか光明は見いだせない。

残り8試合、2位DeNAとは1差と肉薄し、このまま最後までもつれながらゴールに飛び込むことになる。胸の差で2位に入れば、CSに向け若干の調整期間がある。そこまでは死に物狂いで総力戦を繰り返すだけだろう。

ひとつひとつのプレーを吟味する、そういう見方は通用しない。結果だけが大切で、明日につながる内容があればそれが理想だが、そんなことはお構いなしに、どんな形でもいいから点を奪い、後ろの2人につなげる。ただそこだけを目指す、心臓破りの8試合。そういう戦いだ。(日刊スポーツ評論家)

巨人対広島 勝利ファンとハイタッチをする山崎(撮影・増田悦実)
巨人対広島 勝利ファンとハイタッチをする山崎(撮影・増田悦実)
巨人対広島 4回裏巨人無死、2打席連続の左越えソロ本塁打を放ち生還する岡本(撮影・清水貴仁)
巨人対広島 4回裏巨人無死、2打席連続の左越えソロ本塁打を放ち生還する岡本(撮影・清水貴仁)