日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)が8日、古巣阪神のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ突破に向けたキーマンを予想した。11日から開幕する同ファーストステージを戦うDeNA、巨人の両チームは牧、吉川ら負傷離脱者の復帰が見込まれる。勝ち上がりチームの勢いを警戒した上で、初戦立ち上がりの重要性を強調した。【聞き手=佐井陽介】
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DeNAか巨人か。CSファイナルステージの相手がどちらのチームになろうと、阪神のキーマンは初戦の先発投手になると考えます。リーグ優勝チームにとって、もっとも警戒すべきポイントは勢いの差になります。相手チームはファーストステージを勝ち上がって勢いづいています。そんな相手打線を立ち上がりからしっかり抑え切れれば、レギュラーシーズンと同様に阪神が地力の差を見せつけるシリーズになるだろうと予想します。
阪神がリーグ優勝を決めたのは9月7日。レギュラーシーズン最終戦は10月2日。そしてCSファイナルステージ初戦は10月15日になります。もちろん主力勢はフェニックスリーグでしっかり実戦勘を整えるでしょうが、順位を争うヒリヒリした緊張感から1カ月以上、1軍公式戦から2週間近く遠ざかった状態で本番を迎えるわけです。個人的には初戦からガンガン打ちまくるイメージで戦うのは少しリスクがあるようにも感じます。だからこそ、先発投手がいつも通り立ち上がりから試合を作っていけるか否かが、カギを握ると考えます。
リーグ優勝チームには1勝のアドバンテージがあります。しかも全試合を本拠地で戦えます。とはいえ初戦に敗れると、数字上は1勝1敗のタイであっても、一気に相手チームに流れが傾いてしまいかねません。逆に、相手がどれだけ勢いづいてファイナルステージに入っても、初戦に勝利して2勝0敗としてしまえば、独走優勝した阪神のチーム力を考えれば圧倒的有利な立場になります。そもそも10試合、20試合をやれば高い確率でタイガースに軍配が上がるはずです。ただ、短期決戦は初戦から連敗しようものなら、一気に嫌な空気が漂います。阪神はとにかく“勢い負け”しないことが大事です。
私は現役時代に“勢い負け”を経験しています。05年の日本シリーズ・ロッテ戦で4連敗。この時のロッテの勢いはすさまじいものがありました。ロッテはレギュラーシーズン2位からプレーオフを2度勝ち上がり、日本シリーズに進出。一方、当時のセ・リーグにはまだCSのようなプレーオフがなく、阪神はレギュラーシーズン最終戦の10月5日からフェニックスリーグを挟んだだけで10月22日に日本シリーズ初戦を迎えました。そしてロッテの勢いに完全にのまれてしまったのです。ロッテは今江選手(前楽天監督)が8打席連続安打を記録。一方の阪神は誰が調子がいいのか悪いのかも分からないまま日本シリーズが終わってしまった感覚でした。そのような“勢い負け”だけは避けなければなりません。
DeNAは左手親指の靱帯(じんたい)を痛めていた牧選手が復帰しそうですし、何より昨年のCS戸柱選手、日本シリーズ桑原選手のような「シリーズ男」の登場に警戒が必要です。筒香選手も乗せると怖い存在ですし、苦戦続きのケイ投手と対戦することになっても厄介です。一方の巨人は吉川選手が右脇腹痛から復帰することで、攻撃の幅が一気に広がりそうです。吉川選手が戻ることで、泉口選手をより効果的な打順に配置することも可能になります。どちらのチームが勝ち上がってくるにせよ、相手にはファーストステージを制した勢いがあります。だからこそ、阪神は初戦の立ち上がりで勢いを封じておきたいところです。(日刊スポーツ評論家)




