WBCで日本のメイン捕手は、阪神坂本誠志郎を推す。なぜか-。大きな理由がある。

この日、沖縄・宜野座のキャンプで坂本を取材したが、キャッチングは球界でトップクラス。よく表現されるフレーミング(ストライクゾーンの際どい球をミットの使い方や体の位置でストライクに見せる)ではなく、「ストライクゾーンの投球をしっかりストライクにできる」技術。投手の生命線となる外角への速球や変化球を、ボールゾーンへ流すことなく捕球できるタイプ。ミットを動かすことなく、止めることができる。

この技術は、実は簡単そうで難しい。本人も自らの特徴を自覚していた。国際審判員はストライクに見せようと、ミット、体の動きをやりすぎると、注意したり、あえてストライクをとらなくなる傾向がある。その点も向いている。キャッチング技術、配球のインサイドワークを裏付けるデータがある。

昨季、坂本は守備イニング963回で四球数は187、与四球率1・75。阪神のチーム与四球率は12球団トップの2・09(1305回で303個)と抜群の数字で、その中で坂本の1・75は光った。わかりやすく言えば、坂本がマスクをかぶった試合は、投手陣の四球が少ない。

エース村上ら制球が良い投手陣とはいえ、2番手の梅野捕手の与四球率2・95と比較すれば、坂本の数字は際立つ。WBCでは1次ラウンドは65球、準々決勝は80球、準決勝、決勝は95球の球数制限がある。四球を出さない捕手は、投手起用においても計算が立つ。

昨年の日本シリーズで阪神はソフトバンクに1勝4敗と敗れたものの、2戦目の10失点以外は3点以内に抑えた。短期決戦では数少ない相手のデータから分析した配球を、試合でいかにリードしていくか。データには出ない投手、相手打者の状態を瞬時に判断していかないといけない。その観察力、洞察力も備わっている。

足りないのは国際大会の経験だが、昨年11月の韓国との強化試合では5回で交代するまで曽谷、森浦、松本裕をリードし、打者18人に四球ゼロだった。ドジャース山本由、オリックス宮城らが登板する試合は、オリックス若月がマスクをかぶるかもしれないが、坂本が日本のキーマンだと思う。(日刊スポーツ評論家)

練習試合・日本ハム対阪神 試合前、日本ハム新庄監督(左)と話す阪神坂本(撮影・上山淳一)
練習試合・日本ハム対阪神 試合前、日本ハム新庄監督(左)と話す阪神坂本(撮影・上山淳一)
阪神石井にピッチコムでサインを出す坂本(2026年2月撮影)
阪神石井にピッチコムでサインを出す坂本(2026年2月撮影)