甲子園駅に着くと、とある男性が腰を落とし、弊紙の1面を読みふけっていた。岡崎太一捕手(33)の大見出し。プロ13年目の初アーチだ。苦労人が報われる姿は、誰の心にもよく響く。歯を食いしばって家族のために働くサラリーマン。いつかこんな日が来るんだな、と自らの身に置き換えたくなる。

 野球に限らず、スポーツの世界では、常人がとてもできないようなことを成し遂げ、夢を与える存在がいる。その一方で、岡崎のように、地味ながらも努力を重ね、いつか花開く存在もある。矢野作戦兼バッテリーコーチは、昨年の就任から、こんな言葉でハッパをかけていたという。「今からでもレギュラーを取れば、40歳までプレーしたとして、7年もやれるじゃないか」。打力に乏しいが、守備力や投手に与える安心感はチームでも一番だ。きっかけさえ、つかめば、正捕手のチャンスはある。

 最後まであきらめずに続ければ、何かが起きる。何事もやるのに遅いことはない。そんな2つの希望を、岡崎のプロ1号に見た。【阪神担当 田口真一郎】