巨人杉内(右)と並んでダッシュを繰り返す阪神岩田(2012年1月10日撮影)
巨人杉内(右)と並んでダッシュを繰り返す阪神岩田(2012年1月10日撮影)

師匠には、心の底から感謝しているという。阪神岩田の話だ。巨人杉内が9月12日に現役引退を表明。3歳上になる先輩の決断を知り、「えっマジで…」と虎戦士の誰よりも驚いたのが岩田だった。

「こういう投手になりたい、という存在だったから」。かつては志願する形で鹿児島・薩摩川内市内での合同自主トレに“入塾”。同じ左腕としてフォームをマネたこともあった。尊敬する先輩から授かった金言は数知れない。

「今、思い出すのは『ボールを指ではじく』と教わったことかな。杉内さんはきちんと体を連動させて、体重が乗った状態で、最後に指ではじいていた。今になって、こういうことだったのかと分かることがある」

杉内は球界を代表する左腕として長年活躍した。まさか自分より先に先輩がユニホームを脱ぐことになるとは…。この現実は「想像したこともなかった」と言う。

虎の背番号21は今季、未勝利のままシーズンをフィニッシュ。10月31日で35歳になる。勝負の1年になる来季。復活星が最大の恩返しになるということは、もちろん分かっている。【阪神担当 佐井陽介】

キャッチボールする巨人杉内のフォームを見つめる阪神岩田(2012年1月10日撮影)
キャッチボールする巨人杉内のフォームを見つめる阪神岩田(2012年1月10日撮影)