ドラフトの季節がやってきた。運命の1日。悲喜こもごもの人間ドラマは人を引きつける。記者もドラフト会場や全国各地の候補者のもとに散らばってスタンバイ。その瞬間を今か今かと待つ。

この時期になるとレジェンド山本昌氏(53)の言葉を今でも思い出す。「順位も大事だけど、入ってからが大事だから」。50歳まで現役を続けた左腕は、83年に日大藤沢からドラフト5位で中日に入団。そこからコツコツと219個の勝利を積み上げた。それだけに言葉の重みを感じる。

担当しているオリックスを見渡してもうなずける。チームのリーダ的存在である中島は、00年ドラフト5位で西武に入団。絶対的守護神の増井も09年5位で日本ハムに入団している。急成長を遂げた高卒2年目のセットアッパー山本も4位入団。下位指名ながらプロでしっかりと結果を残している。

ドラフトはどうしても1位指名選手に注目が集まる。だが、1位指名でプロの世界に飛び込むのは12人だけ。ほとんどの選手がドラ1ではない。ドラフトは1つの節目であるが、通過点。プロ野球選手としての勝負はこれから始まる。【オリックス担当=桝井聡】