ヤフオクドーム三塁側ベンチ前が一気にばたついた。

ソフトバンクとの試合前練習中。球団からの発表メールが携帯に届いた。

内容は西武内海哲也投手が左浅指屈筋の軽い肉離れで、B班(2軍)合流するというもの。2日に広島打線を3回1安打無失点と好投し、開幕ローテが確定してただけに、埼玉・所沢で残留していた内海の一報に報道陣は騒然。すぐさま首脳陣への取材で開幕ローテ回避が明らかになった。

36歳の新天地での活躍は、今季のプロ野球界において注目を集めていた。その中での離脱。巨人時代も痛めた経験のある箇所で、悪化する前にリハビリを優先させたという。2月10日には張りを訴えてブルペンを回避していた。開幕も目前。結果を残したいという、プロ野球選手であれば誰もが思う感情を押し殺し“止める勇気”を持って決断したんだと思う。

目の前の結果を追い求めてしまうがあまり、どうしてもやりすぎてしまったり、無理をしてしまうことは、往々にしてある。自分と向き合い、心と体のバランスが取れていなければ、こういった冷静な判断もできない。西武入り当初「これまでずっと野球をやってきた中で培った引き出しもある」と言っていた。復帰目標は4月中。シーズンは長い。3歩進んで2歩下がっても、移籍初白星となる134勝目に少しずつ前進していく。【西武担当 栗田成芳】