球場のキャッシュレス利用が始まり、チャージの機械には列ができた(撮影・足立雅史)
球場のキャッシュレス利用が始まり、チャージの機械には列ができた(撮影・足立雅史)

完全キャッシュレス化の楽天生命パークを体験するために、休日を利用して仙台まで足を運んでみた。球場入り口には「CASHLESS ×現金」と書かれた大きな看板があり、サンドイッチ広告を着けたスタッフが何人も歩きまわっていた。

正直、最初はすごい圧迫感を受けた。12日の楽天対ソフトバンク戦は設定されたフードが半額デーだったため、各売店には長い列ができていた。記者は楽天ペイという決済方法を選択。売店でバーコードを読むだけで支払いが完了する。ほかにはクレジットカード決済などもあり、売店も客も慣れていないからか、思ったほどスムーズに列は進んでいなかった。

結局、1度も財布を出さずにすべてスマホで支払ったが、スマホの電池が15%を切った時はゾッとした。福岡からの旅行気分もあり、7000円ほどグッズや飲食で使ってしまったが、その実感がなかったのもキャッシュレスならではだった。この日は寒い中、満員御礼の2万6788人のファンが詰めかけた。スタッフの意識も高く、多くのファンにキャッシュレス化も受け入れられているようだった。

ヤフオクドームではソフトバンクとヤフーがつくったペイペイの導入が進んでいる。誕生した昨年はわずか5%だったが、ポイント還元などのサービスもあり、今季は20%まで利用が増えているという。太田代表取締役専務は「ヤフオクドームでは、今季ポイント還元などお得なサービスを続け、ジワジワと拡大していきたい」と、時間をかけてキャッシュレス化を進める考えを明かした。

米国のNBA会場などのキャッシュレス化した舞台を視察し、いい部分を今後も取り入れていく。売店はバーコード読み取りで問題ないが、通路を売ってまわる売り子には、スマホ携帯を操作してもらう必要があり、通路から中に入った席の客は、自分の携帯をほかの客をリレーする必要がある。抵抗がある客も多く太田専務も「そこが課題」と話す。

後藤球団社長にヤフオクドームをペイペイドームに名称変更するかを聞くと「何だか響きがね…」と笑って否定した。プロ野球界にも急激に押し寄せるキャッシュレスの波。どの年代のファンも置き去りにされることなく、未来へ進んでほしい。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】

球場のキャッシュレス利用が始まった(撮影・足立雅史)
球場のキャッシュレス利用が始まった(撮影・足立雅史)