<オリックス5-6ソフトバンク>◇22日◇京セラドーム大阪

ソフトバンクが負けられないゲームを何とか取った。勝てば道はつながる。終盤は追い上げられ、1点差の辛勝。それでも、勝てばすべて癒やされる。

オリックスに勝利し、タッチを交わすソフトバンクナイン(撮影・前田充)
オリックスに勝利し、タッチを交わすソフトバンクナイン(撮影・前田充)

試合前のナインの円陣。必勝を誓っての「声だし」は中村晃が務めた。「楽しくやりましょう!」。普段は物静かな男の意外な言葉にチームメートから「お前が一番暗いやろ」といじられながら場はなごんだ。一戦必勝。日ごとに高まる重圧をはねのけるのは、気力、気迫もさることながら、開き直りやリラックスの心の余裕かもしれない。これが最も難しい。だが、プレッシャーに固まっていては勝利をたぐり寄せることはできない。

有言実行。声を張り上げた中村晃は打った。6回。柳田の勝ち越し適時三塁打のあと2死となって中前タイムリー。4回に巡ってきた1死二、三塁の好機では見逃し三振に倒れていただけに面目躍如の一打だった。「このチャンスは何とか、かえそうと思った」。一塁ベース上で珍しくガッツポーズをつくり白い歯をこぼした。

6回表2死三塁、中前適時打を放つ中村晃(撮影・前田充)
6回表2死三塁、中前適時打を放つ中村晃(撮影・前田充)

終盤は守護神森の早期投入などバタバタしたものの、先発和田を継いで2番手で登板した嘉弥真が勝ち越しへの流れをつくった。「気合を入れるとダメなほうなので脱力というか、楽な気持ちでいきました」。1番宗、2番福田、3番吉田正を12球で片付けた。今季2勝目。逆転Vへつながるウイニングボールはバッグに詰め込んだ。18日に生まれた第2子には昊(ひろ)と名付けた。人を笑顔にする意味があるという。「最後まで登板機会があれば投げますよ」。小柄なサウスポーは笑顔でバスに乗り込んで行った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】