巨人ジェラルド・パーラ外野手(32=ナショナルズ)には周囲の心をつかむ力が宿っている。

昨年、球団初のワールドシリーズ制覇を成し遂げたナショナルズで、主に代打の切り札として活躍。中南米ベネズエラ出身らしい陽気さで、ムードメーカーになった。地元ワシントン・ポストのベテラン記者は「パーラがチームを明るくしてくれていた」と証言。快進撃の陰の立役者と言っても過言ではない。

愛娘のお気に入りソング「Baby Shark」。出ばやしがパーラとチームを加速させた。ワシントン・ポストによれば、23打数無安打と不振にあえいでいた6月に「何かを変えたい」と選曲。すると採用した同19日、4打数2安打1本塁打2打点と大活躍。試合後「娘がよく歌っていたから」と笑顔で語った。

世界中でヒットした幼児向けの歌に、ファンもノリに乗った。「Baby Shark Doo Doo Doo Doo Doo♪」。一斉に手拍子が始まり、両手を縦にし、サメが口を開閉させる動きを連想させるように、一体となって応援。ワールドシリーズでは、本拠地の観客は総立ちで歌い踊った。

ワシントンの記者によれば「ワシントンには30年ほどプロの野球チームがなかった時期がある。だから、今のファンにはまだ野球を語るほどの知識がない」という。純なファン心理を突いたかは不明も、球場全体の空気を一変させる神通力は確か。通算1312安打、ゴールドグラブ賞2度の実績以上に、何かやってくれそうな予感が漂う。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆ヘラルド・パーラ 1987年5月6日、ベネズエラ生まれ。09年Dバックスでメジャーデビュー。11、13年ゴールドグラブ賞。ロッキーズ、ジャイアンツなどを経て、19年途中に加入したナショナルズでワールドシリーズ制覇。180センチ、95キロ。左投げ左打ち

ナショナルズバッグを携え、羽田空港に到着するパーラ(撮影・狩俣裕三)
ナショナルズバッグを携え、羽田空港に到着するパーラ(撮影・狩俣裕三)