えっ…新助っ人が消えた…? 開幕2戦目の20日楽天戦(京セラドーム大阪)の試合前練習のこと。オリックスのアダム・ジョーンズ外野手(34)はグラウンドに姿を現さなかった。

フリー打撃のケージにも、外野グラウンドにも背番号10は見当たらない。最後まで探したが、発見できなかった。もしや大事件か起きたのでは…と心配した。

試合開始30分前、ジョーンズは初めて姿を見せた。でもそれは電光掲示板でのこと。「4番ライト・ジョーンズ」とスタメン発表され、かっこいいポーズで登場したが、その時点でも球場にナマAJを発見できず困惑した。

シートノックで右翼の位置を見ても、小田と西村が一生懸命にノックを受けている。ジョーンズはいない。すると、試合開始5分前になって一塁側ベンチからジョーンズが爽やかに飛び出してきた! 

練習もせず、大丈夫なのか…と思っていると、試合後に「ここ何年かはデーゲームは練習を中(室内)でやったり、セーブしている」と独自の調整法を明かした。34歳。メジャー通算282発を放った実績ある男。前日19日の開幕戦の試合前には右翼で打球を追いかけ、ポール際で好捕するなど汗を流していた。「ナイスキャッチ!」と声を掛けると「ハッピー、オープニングゲーム!」とご機嫌な様子だった。

ただ、内心は不安もあったようだ。異国の地での新たな職場。「オープン戦や練習試合で結果が出ずに開幕を迎えていたので…」と漏らしていた。開幕2戦目の来日5打席目で初安打を左前に運んだ。「最初のヒットが出て、ホッとした。天に向かって感謝する気持ちになったよ」。一塁ベース到達後には両手を大きく広げてドームの天井を見上げた。

「チームの勝利のためにプレーしている。個人のことは深く考えていない」と語るように、仲間には常々チームの勝利を追うようアドバイスしている。しかしながら、開幕からチームは連敗スタート…。19日は1安打1得点、20日は11安打、8四球を選ぶも16残塁で1得点に終わった。「得点は入らなかったけど、ヒットはたくさん出てきた。負けたけれど、前向きに考えていきたい」。さすが大物助っ人。ポジティブシンキングでナインを鼓舞する。

20日は延長10回2死一、二塁で、先制適時打を放っていたファースト中川が痛恨のトンネル。9回まではサードを守り、この回から一塁に就いていた24歳が適時失策を犯してしまった。懸命にやっても防げないミスもある。ジョーンズは敗戦を見届けると、一番最初に中川の元に足を運んだ。背中をさすって、トントンとたたく姿があった。「これから試合は続いていく。1つ勝てばみんなの力は上がっていく」。頼もしい言葉。ジョーンズは最前線にいなくても、チームを支えていく存在になるかもしれない。【オリックス担当=真柴健】