6回表ロッテ2死、清田(左奥)を左飛に仕留め、拳を握りしめる日本ハム河野(撮影・佐藤翔太)
6回表ロッテ2死、清田(左奥)を左飛に仕留め、拳を握りしめる日本ハム河野(撮影・佐藤翔太)

<日本ハム9-2ロッテ>◇19日◇札幌ドーム

日本ハムのドラフト1位河野竜生投手(22)が19日、4度目の先発となったロッテ6回戦(札幌ドーム)で、プロ初勝利を挙げた。立ち上がりから伸びのある直球を軸にストライク先行で攻め、7回までは三塁を踏ませず。栗山英樹監督(59)が「やんちゃ丸」と呼ぶ利かん気全開のマウンドさばきで、8回を4安打2失点にまとめ、待望の白星を手にした。

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河野の最大の武器ともいえる負けん気の強さ。それは幼少期に育まれた。

林崎スポーツ少年団で監督を務めていた父幸政さん(50)と、そこでプレーしていた3歳年上の兄祐斗さんの影響で、幼稚園児の時からユニホームを着てベンチに座った。

投手を始めたのは小学5年の秋頃。貴重な左投げというのがきっかけだった。試合では制球を乱し四球の連発。ストライクが入らず泣きながら投げることが何度もあった。それでも父は「成長させたろと思った」と簡単にマウンドから降ろさなかった。「『やられたらやり返せ』とか『負けるんがいやになれ』とかね。そういう教え方をしとったんで、今の負けず嫌いがなりたっとるんかな」と、しみじみ話す。

当時チームに所属していた同学年の選手は数人しかおらず、遊び相手は年上が多かった。徳島・大鳴門橋にほど近い場所にある実家周辺で、兄らとともに釣りなどをして競い合うように遊んだ。遊びといえども負けるのは嫌い。その経験が今の河野の礎になっている。

待望のプロ初勝利。ウイニングボールは「ここまで成長させてくれた両親に渡したい」と言った。プロ入り後も、幸政さんからは何度も電話をもらい、修正ポイントをアドバイスされてきた。5日のソフトバンク戦で九鬼に内角直球を左翼席まで運ばれた試合後には、「もっとスピンをかけた方がいいんじゃないか」と技術指導を受け、感触はよくなった。

父の日や母の日、家族の誕生日には決まってプレゼントを贈ってきた。ウイニングボールは、最高の恩返し。この日、インターネット中継で観戦した幸政さんは「うれしいですね。4番(中田)が本塁打を打ってくれてね、助けてくれました。プロの世界は厳しいというのも味わった中での1勝ですからね、僕もうれしいです」と、感無量だった。【日本ハム担当 山崎純一】

プロ初勝利を挙げ日本ハム栗山監督と笑顔で撮影に応じる河野(左)(撮影・佐藤翔太)
プロ初勝利を挙げ日本ハム栗山監督と笑顔で撮影に応じる河野(左)(撮影・佐藤翔太)