ロッテは21日、元中日で米大リーグでもプレーした台湾出身の左腕、チェン・ウェイン投手(35)を獲得したと発表した。

ロッテには既に、同じ台湾出身の左腕チェン・グァンユウ投手(29)がいる。登録名やスコアボード表記はともにフルネームになる見込み。

「チェンチェン大丈夫」の決めぜりふでおなじみのチェン・グァンユウは、国際大会では台湾代表にも入り、自身のことを「台湾ではスターよ」と言う。どのくらいのスター? と聞かれると「イチロー」と答えてから少し考え、「田沢(純一、現BC・埼玉)」と言い直した。そんなチェンから見て、さらに憧れの存在がチェン・ウェインだ。

チェンという名字は台湾では超メジャー。「ロッテのチェン」が2人になった今、双方の活躍を願って、17年オフに書いたコラムを復刻で貼りました。チェンってそんなにいるのか、と思って読んでいただければ幸いです。【18年ロッテ担当 鎌田良美】

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同じ名前は時にちょっと紛らわしい。数年前、広島-ロッテ戦の現場で、広島担当が同期かつ同姓の記者だった。後ろから「おい、鎌田」と呼ばれて2人同時に振り返り、苦笑いした覚えがある。

さて、ロッテの台湾出身左腕チェン・グァンユウ投手(27)が今オフ、マーリンズの元中日チェン・ウェイン投手(32)と自主トレを敢行した。「チェンさんはスター。優しかった」とうれしそうだった。台北で一緒にしゃぶしゃぶも食べたらしい。笑顔で収まるツーショットは両方チェン。話を聞いていると「待って、そのせりふはどっちのチェン?」と混乱してきた。

聞けば台湾では「チェン」が最も多い名字だそう。日本でいう佐藤さんだ。ちなみに佐藤は人口の約1・5%を占める。だが何がびっくりって、台湾には「チェン・グァンユウ」が約12万人もいるという。総人口を約2300万人とすると0・5%。200人に1人が同姓同名ということになる。12月に台北で参加した野球教室で、チェンは小学生のチェン・グァンユウくんを指導した。名前を聞いて「ホントに!? 」と盛り上がり、一緒に写真を撮ってきた。ご縁である。

さらに漢字も同じ「陳冠宇」に絞ろう。台湾では小学生から社会人、プロに至るまで全選手のデータを登録、管理しているそう。携帯で見せてもらった。現役では88年生まれから06年生まれまで、21人の陳冠宇選手が野球界で頑張っている。

「21人いますけど、プロは僕だけです」。トレードマークのニッコリもなんだか誇らしげだ。数え切れないほどいるチェンさんの中で、「チェンといえばロッテのチェン・グァンユウ」と皆が浮かぶようなブレークを期待している。全国名字ランキング189位の鎌田で紛らわしいなんて思ったことを、反省しています。