NPBのドラフト会議が26日午後5時から行われる。普段取材しているロッテは、早大・早川隆久投手(4年=木更津総合)の1位指名を早々に公言した。

その席で、松本尚樹球団本部長(50)は「育成選手はできるだけ多く指名したい」とも明かした。今季は和田康士朗外野手(21)が6月に支配下選手登録となり、1軍で21盗塁(25日現在)をマーク。同本部長は俊足で活躍の場を勝ち取った和田を引き合いに「育成にはチームとして力を入れていきたい。何か1つにたけている選手を」と新たな原石発掘を目指している。

育成選手の指名に積極的な球団が増えてきた。国内独立リーグ・BCリーグの村山哲二代表(56)は、その流れを肌で実感している球界関係者の1人だ。北信越BCリーグとして、07年に4球団で開幕した。「1年目にはNPBの調査書なんて、ほとんど来なかったですよ」。

育成選手を中心に、徐々にNPB入りをかなえるBCリーガーが増えてきた。14シーズン目の今季、12チームに増えた。コロナ禍でも何とかシーズンを進めてきた。「今年は30人近くの選手に、NPBドラフトの調査書が届いているんです。中には9球団から届いている選手もいます。支配下で指名を受ける選手たちもいるかもしれません」。ロッテ和田以外にも日本ハム樋口、楽天寺岡ら1軍でプレーするBC出身選手が増え、多くのスカウトが視察するようになった。

リーグ所属の大半の選手が、NPB入りを目指している。夢をかなえる選手、ピリオドを打つ選手。毎年のようにメンバーは入れ替わる。地域のファンたちはそれを知った上で、夢を追う若者への応援を続ける。村山代表は言う。「NPBのドラフト会議は、BCリーグの選手たちの合格発表日です。すごく楽しみですよ。寂しいという思いはちっともありません」。

和田は「富山での1年間がなければ、今の自分はありません」と断言する。高校ではクラブチームでプレー。縁もなかった富山に飛び込み、師と出会い、秘めた素質を大きく伸ばした。スタジアムを縦横無尽に駆け回る姿は、夢見る若者たちにも大きな励みになっているという。今年は何人が、笑顔でBCリーガーを卒業できるだろうか。【ロッテ担当=金子真仁】