茨城県に入ると、JR常磐線の車窓に田園風景が増える。線路そばの藤代高校で野球部員たちが練習していた。ロッテ美馬学投手(34)の母校。17年前はここにいたんだなと思いながら、電車に揺られる。
上野駅から1時間少々、土浦駅に着いた。ドラフト1位の鈴木昭汰投手(22=法大)の故郷。25日は市長への表敬訪問があり、取材に訪れた。2時間も前に着いた。カフェで、クリスマスツリーでも見ながら時間をつぶすかそれとも。そうだ、チャリ借りよう-。
11月末にドラフト2位の中森俊介投手(18=明石商)の故郷、兵庫・丹波篠山市をレンタサイクルで巡った。だから1位も…という訳ではない。改修を終えた土浦駅は、サイクリストが気軽に寄れる飲食店がずらりと並び、1階には本格的なサイクルショップがある。この数年、土浦市は「自転車の街」としてのPRを本格化している。
会見まで1時間45分。短時間だし、スーツにネクタイだし、ロードバイクはやめておく。シティーサイクルをこぎ出して、すぐに桜川のたもとへ。近くにBCリーグ・茨城アストロプラネッツの県南事務所がある。育成ドラフト2位・小沼健太投手(22)の取材で11月に訪れたばかりだ。
小沼は千葉出身。BC武蔵に入団し、2年間プレーして茨城へ移った。「環境を変えるために来たんですけれど、それが良かったと思える球団でした。若いけれど、自分が引っ張っていってやろうという気持ちが芽生えました」。独立リーグで過ごした年数「4」を心に刻み込み、NPBでさらなる飛躍を期す。
しばらく走ると、鈴木の母校の中学校があった。校門横にドラフト指名を祝う大きな横断幕があった。オリックス育成5位の佐野如一外野手(22=仙台大)も同級生だと知った。公立中学の同級生同士が同じタイミングでドラフト指名。なかなか珍しい。
筑波山を眺めながら、爽快に進む。やがて国の重要文化財指定を受ける土浦一高の校舎が見えた。19年3月27日、大船渡・佐々木朗希投手(当時17)が練習試合で訪れた。この日が初対面で名刺を渡した。「大船渡はおとといも雪が降りましたし、少しずつ調整を進めています」と教えてくれた。それなのに10日後、163キロを投げて度肝を抜かれた。少しずつって…。
そういえばあの日、ロッテ関係者も土浦一高に来ていたな-。なんて思い出しつつ湖の方へ。霞ケ浦の周りでは名産のレンコンが収穫真っ最中。ストライクゾーン上限くらいまで泥につかっての収穫シーンが見えた。霞ケ浦はやっぱり広い。日本で2番目に広い。
2番目…来年は2位より上へ。即戦力左腕の鈴木にかかる期待も大きい。市役所を訪れて「生まれ育った環境なので。活躍して恩返ししたいと思います」と誓った。せっかく“サイクリングの土浦”を走ってみたから、自転車にまつわるエピソードを聞いてみたい。ルーキーは「ありますよ!」と笑った。
「自分と(オリックス入団の佐野)如一の家が自転車で15分くらいなんです。もう1人、仲の良い友達がいて、そいつの家がちょうど中間くらいで。いつもそこに集合して、映画見に行ったりしてました」
野球を離れるとただの友達、幼なじみです-。景色とともにルーツのほんの一端に触れ、彼らのサクセスストーリーがますます楽しみになる。【ロッテ担当 金子真仁】




