新しい1年が始まった。21年のオリックスで期待されるのは、若手だけじゃない。阪神を戦力外になり、今季からオリックスにコーチ兼任で加入する能見篤史投手(41)の存在を、中嶋聡監督(51)は重要視する。

阪神時代の能見篤史(2020年7月16日撮影)
阪神時代の能見篤史(2020年7月16日撮影)

「なぜ(1軍で)しっかり投げられるのかを説明してくれると思う。(兼任でも)基本は選手で考えています。ただ、キャンプでは、ある程度コーチとして考えている」

能見は41歳の昨季34試合に登板。1勝0敗1セーブ、4ホールドで防御率は4・74。コロナ禍で主力が不在時も献身的にチームを支えた。年齢に負けない。まだまだ1軍のマウンドが似合う。今季は兼任コーチ。若手の多いチームがベテラン左腕から学ぶことは多そうだ。

自らの経験があるから、相手に伝えられる。中嶋監督も、日本ハムで選手兼任コーチを9年間務めた。「兼任の方が、アドバイスは言いやすいと思う。(肩書が)選手だけだと(本職の)コーチがいるので、そのコーチと言っていることが違うと、チームとしてうまくいかない。(距離が近いので)選手は選手から聞いた方が分かりやすい」。その体験から「兼任コーチはやれる」とうなずく。

能見は、コーチとしては基本的に1軍ブルペンを任され、投手としての起用ポジションも中継ぎとなる。中嶋監督は「(コーチとして)アドバイスが欲しいのは中継ぎに。(ブルペンの)中に入ってくれたら心境も分かる。今のところは中継ぎじゃない?」と語る。ただ、投手の兼任コーチは、自身の調整も必要で難しいとされる。「そこに関してはこっちがバックアップする。(自分は)9年も兼任コーチをやらしてもらったので。何か難しくなったときにバックアップはできる」と指揮官は約束。「もし先発になると2、3日前から(コーチの役割から)外れる」とし、その場合は「誰かコーチを下から手伝ってもらう。小林(2軍監督)が投手コーチ兼の監督もできるので」と細かいところまで対策を描けている。

何より絶大な信頼を置いている。「能見は球数を投げてくる。言わなくてもやってくる」。調整は任せている。プロ17年目で42歳になる。チーム最年長となる能見は、有形無形の影響を与える存在となりそうだ。【オリックス担当 真柴健】