「節分の日」が2月2日になったのは124年ぶりという。節分といえば近年は、吉方角に向かって恵方巻きをほおばるのが、はやっていて「鬼」の存在は薄れがちだ。ソフトバンクのキャンプ地である宮崎・生目の杜も無観客。工藤監督がファンとともに恵方巻きをほおばっていたイベントも当然なし、である。
ダイエー時代、高知キャンプを訪れた中内功オーナーが鬼に扮(ふん)した球団代表に向かって勢いよく豆を投げつけたことがあった。カメラマンの要請に気軽に応えてくれた中内さんだったが、鬼の面をかぶった球団代表が「まあ、これも仕事ですから」と苦笑いした姿が懐かしい。「今年、優勝できなかったら、この人(鬼)の首が飛ぶだけやから」。本気ともジョークともつかない中内オーナーの言葉に鬼役の球団代表も首をすくめるしかなかった。
サディスティックな思い出を想起しながら、ホークスの練習を見つめていたら「鬼参謀」が苦笑いを浮かべていた。小久保ヘッドコーチである。午前の内野ノックでバットを握った。鬼ヘッドの初ノック。選手を左右に振ったり、と軽快? にバットを振ったが2度ほどライナー性の打球を打ってしまい、ベテラン松田から罰ジャンプのヤジが飛んだ。ノッカーがミスするとその場で10回もも上げジャンプするのがプロ野球のお約束。さすがに小久保ヘッドも従うしかなかった。「あれは松田がいたから言われましたね」。練習後、小久保ヘッドはそう言って笑っていた。
今キャンプでは1日1000スイングをノルマに掲げ「厳しさ」を前面に打ち出した。「妥協なき男」のイメージが強い小久保ヘッドだが、グラウンドでの選手との接し方には彼なりの「触れあい方」もある。たぶん、ノックなんて打ったことないはず。担当コーチには「先に俺に打たせてくれ。打てるところまで打つ」と言ってバットを握った。自ら心地よい「豆」をぶつけられにいったのだろう。「鬼は外」ではなく「鬼は内」に迎えられるコミュニケーションぶりだった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】




