ソフトバンクは今キャンプ初の休日だった。宮崎は風の強い日だったが、気温15度を超える快晴。1カ月足らずのキャンプ期間で「晴れの日」は重要。もったいない気持ちも感じてしまうが、確定したスケジュールだから仕方ない。宮崎・清武でキャンプを張るオリックスの練習をのぞいてみた。ホークス同様、A、B組が集結した合同練習もチームが違えば、やり方も違う。ブルペン投球も守備練習もA、B組が別々にやるわけでなく、両組混成された2組で練習を行っていた。

「全コーチがすべての選手を見られるようにと。このキャンプではそういう目的でやっています」。球団関係者はその意図を説明してくれた。オリックスとしては96年のリーグVからすでに24年も優勝から遠ざかっている。宮内オーナーも奥歯をかむ日が続く。中嶋オリックスで「再生」が合言葉となろう。エース山本もブルペンで熱のこもった投球を行っていた。

10投手が同時に投球できるワイドなブルペンでせわしく動き回っていた男がいた。一昨年までホークスの3軍投手コーチだった入来祐作投手コーチ(48)である。背番号「82」のユニホームに袖を通し「新天地」で再びコーチ業をスタートさせた。ホークスでは工藤監督から誘われ15年から5年間、ファームの投手コーチ。退団後、1年間、ホークスジュニアアカデミーの講師を務め、オリックスから声がかかった。「なかなか選手の名前と姿が合わなくて。一生懸命ですよ」。就任が決まると投手陣の映像を取り寄せ研究した。初のコーチ業となった14年12月の就任会見では「まさか僕を誘っていただけるとは…」と男泣きした。ただ、ホークスの5年間で何ができたか。選手の役に立てたか…。自問自答した。「(オリックスの就任要請に)こんな幸せなことはないでしょう。この年齢になっても野球界にいさせていただいて。もう1度、頑張ります」。低迷が続くチームの再建は簡単ではない。入来コーチにとっても再戦のコーチ業。グラウンドに戻ってきた熱血漢の指導にも注目してみたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

入来祐作氏(2019年11月30日撮影)
入来祐作氏(2019年11月30日撮影)