巨人の主力を中心としたS班が沖縄・那覇で行うキャンプ2日目の7日。FA加入後、ユニホームを着て初めてブルペン入りした井納翔一投手(34)の言葉が気になった。「マウンドの硬さもあるので、僕自身がそこをしっかりと感じながら取り組みました」。実際、東京ドームのマウンドは硬いと聞く。では、キャンプを行う沖縄セルラー那覇はどうなっているのか。

同球場が開場した10年からグラウンドキーパーを務め、現在は主任の真栄城(まえしろ)走さん(36)は言う。「マウンドは東京ドームと同じブラックスティックという土を使っています。地はしっかりしている粘土質の強い硬い土になっています」。同球場は高校野球などにも使用されるため、普段は育ち盛りの学生の足腰への負担軽減を考え、少し軟らかな「荒木田」という土を使用。オフの自主トレが始まる前の12月上旬に10日間ほどかけて替え、高校野球の春季大会が始まる前の3月中旬には戻すというサイクルを毎年繰り返している。

沖縄セルラー那覇のある奥武山公園には、メイン球場のブルペンの他にベンチ裏に計6レーン、キャンプ中に投手が練習を行う投手エリアにも6レーンある。1つ1つマウンド周りを10センチほど掘削してから土を敷き詰めていくため、キャンプ期間中に使うブラックスティックは8トンにもなる。より東京ドームと同じ状態にできるように、1年に1回、東京ドームとジャイアンツ球場を視察しており「実際に現場を見て体感して、それを持ち帰って実践する。より同じものを、求められてるものを、そろえようとしています」と話した。

グラウンドキーパーをやる上で一番のやりがいは選手からの言葉。感謝などのプラスな言葉、指摘などのマイナスな言葉、どちらもありがたい。「やっぱり感謝の意を伝えてもらうことが多いです。でも実際ちょこちょこ指摘もいただくんですけど、何も言われないより言われた方が、怒られてもプラスになると思うので」。真栄城さんのメモ帳には「今日のグラウンドは硬かった」「今日のは最高でした」など、毎日選手からもらった言葉が書き留めてある。全ては選手に気持ち良くプレーしてもらうため。今日も明日も明後日も、沖縄で東京ドームのマウンドを再現する。【巨人担当=久永壮真】