中日のパウエル1軍打撃コーチをサポートしているのが児玉健通訳(20)だ。今年成人式を迎えたばかり。高卒3年目の根尾と同学年で12球団最年少通訳として沖縄・北谷キャンプで活躍している。

日本人の父とメキシコ人の母は米国の大学留学中に出会い、結婚。長男の児玉通訳は愛知県生まれで、幼少期から自宅で両親から日本語以外に英語、スペイン語による教育を受けた。英会話は日本の学校に通いながら独学で磨いた。

高校時代は名古屋市内のホテルでアルバイト。ナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)の中日戦にケータリング係として出入りしていたことがきっかけで、現在に至る。「球場で桂川さんと話しているうちに話が進みました」。ビシエドらを担当する桂川通訳の推薦もあり、19年オフに契約したパウエル・コーチの専属通訳を探していた球団と思惑が合致し、職員として入団した。

身長は183センチ。選手たちに交ざってもひけをとらない貫禄がある。打撃ケージの後ろで187センチのパウエル・コーチと並んでいると、シルエットは親子のようにも見える。

1年目はコーチ会議や練習中の指示、ベンチでの会話に苦労した。中学まで軟式野球に打ち込んでいたが、球界の専門用語はちんぷんかんぷん。「OPS(出塁率+長打率)などデータ的な用語に苦労しました。パウエルさんにも積極的に聞きました」。今でもメジャー中継を英語で見ながら、野球用語を訳す勉強を続けている。

与田監督をはじめコーチ、選手とパウエル・コーチの橋渡し役に喜びを見いだした。自分の言葉がチームの力になる。「お互いに信用していないとこの仕事はできないからね。ワンチームになろう」。パウエル・コーチの言葉を胸に二人三脚で汗を流している。【中日担当=伊東大介】