電撃トレードにも田口麗斗投手(25)は、いつもと変わらなかった。2日に巨人からヤクルトへの移籍が発表され、自身を心配する連絡が相次いだ。「『大丈夫だよ、逆にチャンスだから』という風には僕から連絡させてもらって、その不安を取り除きました」とほほえみながら話した。

入団会見直後の3日の巨人戦では、入れ替わりで巨人に入団した広岡と笑顔でグータッチ。新天地を「温かいというか、後輩からも早速『マリモさん』と呼んでもらっている。楽な気持ちで過ごさせてもらっています」。巨人元木ヘッドコーチから命名された愛称「マリモ」もヤクルト内で浸透しつつあり、早くもチームに溶け込んでいる。

練習中は足を高く上げる小川の“ライアンフォーム”でキャッチボールし、得意のモノマネを披露。引き揚げる姿を収めようと待ち構えていた報道陣のカメラを見つけると、突然駆けだして“逃亡”。チームが変わっても、明るく、ムードメーカーっぷりは変わらない。

入団時から目標に掲げた200勝まで、残り164勝。尊敬する投手には石川を挙げる。同じ小柄の左腕。「体のコンディションをすごく気にかけているなというのがすごく分かる。やっぱり何十年できるというのも理由が1つだけじゃないと思うので、そこを盗んでいかないと僕も長くできない。最強の味方がついたのかなと思います」とベテランから学んで、勝ち星を積み重ねていく。

16年に10勝、17年に13勝を挙げたが、近年は納得のいく結果を残せていない。「1軍に居続けることがなかなかできなかった。最後までローテーションに入って巨人の連覇を阻止して優勝したい」。スワローズの田口として、決意を新たにしていた。【湯本勝大】

試合前、観客の声援に応えるヤクルト田口(2021年3月4日撮影)
試合前、観客の声援に応えるヤクルト田口(2021年3月4日撮影)