<ソフトバンク0-2西武>◇8日◇ペイペイドーム

ホークスのサヨナラ勝ちを信じたスタンドからは遠慮がちな? ため息が漏れた。毎年恒例となった「タカガールデー」の初日。1万7688人のファンが詰めかけ球場はピンク色に染まった。2点を追う9回裏。2死満塁。柳田は遊ゴロに倒れた。

ソフトバンク対西武 タカガールデーでピンクに染まるスタンド(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対西武 タカガールデーでピンクに染まるスタンド(撮影・屋方直哉)

終わってみれば「0封」負け。7回2失点の粘投を見せた先発マルティネスを打線が援護できなかった。打線は水もの。打てない時もある。再三のチャンスをつぶしてしまうことだってある。ただ、長丁場のシーズンは「凡事徹底」を貫かなければならないということだろう。

8番松田が7回無死一、二塁から送りバントを失敗した。カウント1-0から2球目をファウル、3球目は捕邪飛となった。この日、チーム3度あった送りバントの場面で唯一の失敗となった。もちろん、成功しても後続が快打を飛ばさなければ得点には結びつかないからバントの成功がそのまま生きるとは言い切れない。成功した2度の犠打もホームは遠かった。

7回裏ソフトバンク無死一、二塁、犠打を試みるも打ち上げ、捕邪飛に倒れた松田(右)、左は森(撮影・岩下翔太)
7回裏ソフトバンク無死一、二塁、犠打を試みるも打ち上げ、捕邪飛に倒れた松田(右)、左は森(撮影・岩下翔太)

失敗を責めているのではない。キャンプからシーズンを通して「バントの意識」が徹底されているのだろうか? という疑問だ。例えば松田は全37試合に先発出場し8番29試合、7番7試合、6番1試合。長打力も魅力だが「つなぎ役」としての役目も重要な打順に立っている。「豪打」で打ち勝つ野球は理想的だが、緊迫戦では1点の重みがズシリとのしかかる。主砲柳田もまだまだ本調子ではなく、グラシアルが離脱。やるべきことをきっちりとやる、というチーム方針を明確にしておかなければ「馬なり」の打線になりはしないか。

同点の9回裏無死一塁。「4番落合? 当然バント。俺が監督ならそうする」と中日で監督を務めた落合博満氏は言っていた。そして「いつでもバントはできるよ」と笑っていたのを思い出した。【ソフトバンク担当 佐竹英治】