<日本生命セ・パ交流戦:巨人6-0日本ハム>◇4日◇東京ドーム

高校時代に見た「怪物左腕」が大きな変貌を遂げ、プロで活躍している。巨人の変則左腕・大江竜聖投手(22)を初めて見たのは、大江が二松学舎大付(東京)の1年生だった14年夏。1年生ながら名門で堂々と投げる姿、オーバースローの力強い投球フォームが印象に残っている。比べられるレベルではないが、記者も同じ東京で白球を追った球児だった。年も大江の1つ上。テレビで投げている姿を見て「年下なのにすごいな…」とレベルの違いを痛感した記憶がある。

上には上がいる。記者が大江を見て思ったように、大江もプロ入りしてから、そう感じたのかも知れない。入団から3年間の1軍登板はわずか8。しかし貪欲に生きる道を探した。昨季開幕前、サイドスローに転向すると、一気に花開いた。中継ぎとして43試合に登板し、ブルペンを支えた。

今季はスタートで出遅れたが、一気にまくった。春季キャンプ中、右太もも裏の張りで帰京。5年目にして初のリハビリ組入りだったが、約1カ月半じっくり復帰を目指した。開幕直後の3月30日、NTT東日本との3軍戦で実戦復帰を果たした後、リハビリ期間を振り返って言った。「めちゃくちゃ、野球やりたいなって思いました」。4月6日に1軍に復帰すると、以降は中継ぎとしてフル回転している。

4日の日本ハム戦(東京ドーム)の投球はまさに“必殺仕事人”だった。左足がつり緊急降板したメルセデスの後を受けて登板。カウント1-1で好打者西川という難しい場面でも、冷静に、淡々と三ゴロで切り抜けた。さらにイニングまたぎで近藤を全球直球勝負で左飛に打ち取った。打者の途中からの登板、イニングまたぎ、3連投を涼しい顔で乗り切った。原監督は試合後、「彼は若いけれども肝の据わった度胸の良さが見事。技術はまだまだ上がっていくだろう。爪のあかを少しせんじながらという選手もいるかもしれない」と絶賛の嵐だった。

7年前に見た「上投げの怪物左腕」が、今は「巨人の変則左腕」として躍動している。何かうまくいかないときは、大江を見習って少し“角度”を変えて、頑張ってみようと思う。【巨人担当=小早川宗一郎】