小さな大投手。ヤクルト石川雅規投手(41)にはこの言葉がまさに当てはまる。プロ21年目の今季、3試合に登板し、2勝1敗、防御率1・69と安定感を見せている。4日西武戦(神宮)では5回1失点で、大卒投手初の入団から20年連続勝利を達成。中6日で迎えた11日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)では、6回無失点で交流戦史上最多タイの26勝目。立て続けに記録を打ち立てた。

167センチ、73キロと小柄。150キロを超える直球を使って力でねじ伏せるタイプではない。「しっかりと自分のボールを投げるというか、いろんなボールを投げて高さを頑張ってというのが僕の投球」。多彩な球種を織り交ぜて、丁寧にコーナーを突く投球を続け、175勝を積み重ねた。

一方で、自身の特長を逆手にとることもある。11日ソフトバンク戦の2回、打者はバレンティン。初球から直球を4球続けて投げた。ともにプレーした仲の打者との対戦。「僕のデータもいっていますし。変化球を投げることが逃げることではないんですけど、かわしてかわしてだと、力のある経験のある打者なので、そう簡単にはいかない」と分析する。変化球が来るだろうという打者の読みは、石川にもお見通し。「真っすぐで攻められたことで打ち取れた」とうなずいた5球目にスライダーでファウルを打たせ、6球目はシンカーで空振り三振。強打者を手玉にとった。

どんな投手でも基本は直球と示すかのようなマウンドさばき。速い球であらゆるコースに投げ分けられるからこそ、変化球が生きる。「やはり僕でも真っすぐあっての変化球だなと改めて思いました」。次回の登板では、石川の直球に注目だ。【ヤクルト担当=湯本勝大】