<ソフトバンク5-5日本ハム>◇19日◇ペイペイドーム

ソフトバンクは負けなかった、と言えば聞こえはいいが、4点差をひっくり返され何とかドローに持ち込んだだけに「勝てない」悔しさの方がにじみ出てくるではないか。

交流戦から元気の出ない打線のカンフル剤として2軍から谷川原を引き寄せ、スタメン起用。5回の2打席目にプロ1号となる先制弾を放った。プロ6年目の男の発奮アーチがきっかけとなってプロ野球タイ記録(パ・リーグ8度目)となる3つの押し出しを含む1イニング5連続四球で計4得点。沈黙打線が再起するかと思えば、ブルペン陣が7、8回に計5失点…。大揺れのシーソーゲームとなった。9回裏に栗原の起死回生の1発で黒星こそ免れたものの、どう考えたって限りなく「敗戦」に近い引き分けだった。首位快走なら引き分け試合もまだ余裕だろうが、追う立場となっている現状では勝ち星を逃してしまったのは何とも痛いはずだ。

試合後、日本ハムの鶴岡バッテリーコーチ兼捕手は「(ホークスの)底力を見せられた」とポツリとつぶやいて帰っていったが、本音かどうか…。日本ハムにとっても勝ちきれなかった悔しさに満ちたはずだが、4点差がありながら逃げ切れなかったホークスの現状をしっかり分析しているだろう。

勝負は敵対する相手とやるもので、打線の活性や投手陣の安定度は戦わなければ計れない。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」はホークスOBでもある故野村克也氏の名言だったが「引き分け」はどうだろう。日本シリーズ5連覇&リーグ連覇を大目標に掲げるホークスにとって正念場の6月戦線。まだまだ打線の蘇生には時間がかかりそう。5得点でもまだタイムリーは生まれていない。模索の日々は続きそうである。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対日本ハム 5回裏ソフトバンク無死、谷川原は右越えに先制本塁打を放つ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対日本ハム 5回裏ソフトバンク無死、谷川原は右越えに先制本塁打を放つ(撮影・梅根麻紀)