オリックス小田裕也外野手(31)は試合最終盤で輝く「スペシャリスト」として25年ぶりの優勝に貢献した。残り試合が1桁を切った10月中旬、小田にベンチの雰囲気を尋ねると「周りが『優勝だ!』と言うほど、雰囲気は意外とそうじゃない。本当に目の前の1試合に集中している。勝てば勝つほど、1試合を勝ち切る大変さを味わえている」と充実の表情だった。

14年ドラフト8位でオリックスに入団。7年目の今季は自身最多の101試合に出場。スタメン起用は2試合だけで、ここぞの場面で代走や守備固めで起用された。「もちろん、活躍したい気持ちも強いし、それだけじゃいけない役割だなと思ったりする瞬間もあった」。ギラつく胸中を静かに抑えた。

出番を待つ日々に「5回までは試合のタイミングを見てストレッチをしたり、準備。5回以降は打順やイニングを見て、頻繁に」。戦況を見つめながら備え、呼ばれたタイミングで最高のパフォーマンスを求められる。「ベンチで走れるスペースは限られている。だから、走るというよりはジャンプで調整。スイングルームで小刻みなステップをしたり。球場によって(スペースが)違うから試合前に考えたり」。スペシャリストらしい工夫を凝らす。

一塁走者の代走で起用されると、次打者のヒットでスタスタと三塁を陥れる。「1つでも先の塁に」。さらっと言うが、簡単なことではない。守備固めで左翼や右翼に就けば、果敢なスライディングキャッチも披露。「ワンプレーが大事になってくる役割だから」と球際で目いっぱい腕を伸ばす。

仲間の背中をバンバンたたいた夜がある。9月30日ロッテ戦(ZOZOマリン)の9回。T-岡田が逆転3ランを放ったときだった。三塁側ベンチでT-岡田を迎え入れる瞬間、今ひとつ乗り切れない表情の後藤を鼓舞した。「駿太、よかったなぁって。ほんとに自分もホッとしたというかね。僕も同じ立場なので。あそこでエラーしたら、絶対に落ち込む。だから、Tさんの3ランに救われたなと」。直前の8回2死一、二塁。同点の守りで、左翼で途中出場した後藤が痛恨のファンブル。猛チャージをかけた結果、勝ち越しを許していた。

小田は「駿太が(ベンチで)横にいたから。ただ、それだけだよ」と爽やかに笑う。一瞬で表情を戻して「誰でも、攻めたミスはあると思う。ただ、僕らの立場は、信頼を積み上げるのは大変だけど、失うのは一瞬なんだと。エラー1つが目立ってしまう。日本ハムの谷内くんも、そう言っていたみたいだね」と気を引き締めた。ちなみに日本ハムの「抑え内野手」の谷内はここ3シーズン無失策を続けている。

背番号50は、勝ち切るためのラストピース。「Tさん、安達さん。投手では比嘉さんに平野佳さんが『俺らがなんとかするから』と言ってくれる。あと、今年はイケイケな雰囲気。山足だったり佐野皓、駿太の存在もね。もちろん、気にかけているよ」。11月4日で32歳。2枚目スターに渋みが増してきた。【オリックス担当=真柴健】