ロッテ山口航輝外野手(21)が初めてのクライマックス・シリーズ(CS)開幕を心待ちにしている。2試合、ないし3試合で勝たなければ次はない。短期決戦を「自分の力を試せる」場と捉える。「緊張はあると思うんですけど、楽しんでやりたいなと思います」。11月に入り、左手のマメをつぶしながらヘビーな振り込みを繰り返してきた。

初日は打撃のみ5時間。2日目以降も全体練習後に居残り特打が始まった。とてもポストシーズンに向けた調整とは思えない。それもそのはず。安田、藤原、和田、佐藤都、小川とともに強化指定メンバーに指名された。井口監督は「調整じゃないですね。彼らはそこまで成績を残してない。CSとか日本シリーズより、来季に向けてもっと上を目指してもらいたい」と意図を明言している。

この6人の中でも、山口はCSで打席に立つ可能性が高い。シーズン後半戦は外野、DH、一塁でたびたびスタメン起用され、10月は打率2割8分6厘。30日の最終戦はプロ初の3安打で締めくくった。「あの前の日に、あと1本ホームランを打ちたいと狙いにいって、感じが悪くなってしまったんです」と明かす。

10月16日のソフトバンク戦で9号ソロを放ち、2ケタ本塁打にリーチをかけていた。入団3年目以降のデビュー年に10発打てば球団史上初だった。あと1本。自然とわいた欲が2試合連続無安打を招いた。同29日の試合後、室内練習場にこもった。「明日は謙虚にいこう。そのテーマを持って挑んだ結果が3安打。次につながる形で終われたと思います」。

同じく2位で進んだ昨季のCSファイナルは、同い年の藤原が1試合3安打、1歳上の安田が2戦4打点と存在感を放った。山口はと言えば、1軍出場がなく、あのピリッとした独特の空気をまだ味わっていない。次につなげる3安打。待ちわびた「次」が、やっと来る。【遊軍 鎌田良美】