6年ぶりのリーグ優勝と20年ぶりの日本一に輝いたヤクルト。

選手たちはここぞの場面で力を発揮し、絶対に負けられない正念場で勝ち続けてきた。勝負強さはどこから生まれてきたのか。高津臣吾監督(53)の“根性論”が背景にある。

指揮官は学生時代、広島工から亜大に進んだ。「すごく厳しい環境で野球をやってきた。昔で言ったら根性とか。忍耐というのはあるかなと思う」と振り返る。激しい練習を積み重ね、歯を食いしばってプロの世界に入った。そして長年プロの世界だから分かったことがある。「根性とか忍耐がない野球選手はダメ。最後は負けん気になって絶対勝ちたいとなるけど、それに対して頑張る気持ちや耐える気力だったり、根性というところにつながってくると思う」と説明した。

スパルタ教育などが良いというわけではない。性格が静かだから根性がないというわけでもない。指揮官は選手たちへ、心の強さを求める。「気持ちだけでは勝てないんだけど、気持ちがないと勝てない。これがすべてじゃないんだけどね」と優しげに説いた。

チームは今季開幕前は下位予想が大半を占めた。日本シリーズもオリックスが優位と予想されることが多かった。逆境をはね返し続けて、歓喜で締めた。2年連続最下位からの巻き返しに、さまざまな要因が挙げられ、議論されてきた。もちろんそれらも大事な要素。だが、その根底には変わりたい、負けたくない、という熱い情熱があったことには間違いない。そんな選手たちを見守り、指揮官は「本当に強くなった。体力もついたし、少々じゃ根を上げなくなったし。いろんな強さは身についたと思う」と目を細めていた。【ヤクルト担当 湯本勝大】