長寿の秘訣(ひけつ)はシンプルだった。ソフトバンク和田毅投手(40)の自主トレ公開が、13日に長崎市内で行われた。当日は約200メートルの坂道ダッシュを合計8本。来月41歳を迎えるベテランとは到底思えないペースで走っていた。イケメン顔は少しゆがめる程度。ともに参加した大竹耕が「元気でやられている理由を1日1日感じている」と話すのもうなずける。

和田に直接関係はないが、20日に筑後で自主トレを公開した又吉もテーマを「走る」に設定していた。理由は「ドラゴンズにいた時に井端さんや山井さんなどベテランの方から『走れなくなったら終わり』と言われた」からだ。19日に新人視察を行った王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(81)も、「絶対に大事」と下半身強化の重要性を説いた。「走る」。苦しい時、楽をしようとする自分に勝てるかどうか。簡単そうで難しい。

坂道ダッシュの3本目を終えると、和田は報道陣に「そろそろ行きますか」と声をかけた。球団広報にも背中を押され、記者も泣く泣く参加。結果は2本で酸欠。ゴール地点で大の字になって必死に呼吸を整えた。正直、いまだにあの日の記憶は曖昧なまま。ただ覚えているのは「足、大丈夫だった?」と優しく声をかけてくれる和田の姿だった。話は脱線したが、和田が「松坂世代」最後の生き残りとなっている理由を、改めて認知させられた。【ソフトバンク担当=只松憲】