<オープン戦:ソフトバンク3-5中日>◇3日◇ペイペイドーム

若き「仕事人」の座に向け、ソフトバンク野村大が1球で仕留めた。9回1死一塁。ようやく出番が来た。2番三森に代わって打席に入ると、マルクの初球のフォークを捉え、左翼線に運ぶ二塁打を決めた。「明日は必ず出たら打ちます。今日は出番がなかったから。ほんと打席に立ちたいんですよね」。ちょうど24時間前。そう言ってペイペイドームを後にしていた。有言実行。4年目のスラッガーは見事に結果を出した。

笑顔と同時に渋い顔も見せた。「胃が痛いです。本当に代打というポジションは厳しい」。レギュラー争いとは違う形だが、この時期、開幕1軍へ生き残りをかけているのは同じ。貴重な「右の代打」として21歳は胃の痛み? とも戦いながら一振りにかけている。

「ずっと打撃の調子はいいんです」。2月24日のロッテとの練習試合(宮崎アイビー)では9回無死二、三塁の場面で代打で登場。左前に適時打を飛ばした。 キャンプ前までは「三塁争い」に気持ちを高めた。打撃の成長は首脳陣も認めるが、課題は守備。でも両立が難しければ、長所を伸ばせばいい。昨年、2軍監督だった藤本監督はその打撃センスに高い評価を与えていた。2軍戦での得点圏打率は6割を超えた月もあった。昨秋宮崎でのフェニックス・リーグでもチャンスに強い打撃を披露。生かす道は藤本監督の頭にしっかり描かれていたようだ。

「去年も2軍でやっているけど、得点圏打率は高くて勝負強いバッター。そこに当てはめるのはできるんじゃないかと思う。打つことに関しては今は、ほんと文句言うことはない」

試合後、藤本監督は野村大の打撃を称賛した。若いからこそ、代打から出発してレギュラーをつかんでほしい思いも明かしていた。

確かに、野手は打ってナンボなのだ。アピールすべき「一芸」は打撃。楽しみな代打男が出てきた。【ソフトバンク担当 佐竹英治】