ドレッドヘアの新外国人、巨人アダム・ウォーカー外野手(30)が異彩を放っている。伝統球団の選手としては珍しい髪形に、身長196センチ、体重104キロの恵まれた体格はまるで、サラブレッドのような気高い風格をまとっている。

とにかく打撃が好調で、4月26日DeNA戦では2度目の猛打賞。4試合連続のマルチ安打にもなり、打率も3割3分3厘まで上昇した。本塁打も3本を記録している。

ただ「異彩」と書いたのには訳がある。1つは守備面に少々難があるところ。同24日の中日戦。ウォーカーが守る左翼方向に飛んだ単打性の当たりが、立て続けに二塁打とされた。内野への返球がワンバウンドする場面も。ヒット性の当たりが左翼に飛べば中日の打者走者は迷いなく、二塁を狙った。

それでも巨人ナインは彼を責めたり、嫌な態度を見せることはなかった。

同じ中日戦の3回1死一、二塁で左中間に飛んだフライ。ウォーカーは全力疾走で捕球しようと滑り込むも、安打を許してしまう。この回、6-1から同点に追いつかれる1つのきっかけにもなったプレーだ。

左翼手の守備範囲であったとしても、中堅を守る堅守の丸に任せる手もあったのでは-。人事異動で今月から野球担当になったばかりの素人記者はそう思ったが、ウォーカーは「自分の仕事場」で責任を果たそうと必死だった。

見た目の派手さとは裏腹に、大観衆は縁遠かった。米国時代はメジャー昇格に届かず独立リーグを転々とした。「掘り出し物」として30歳で海を渡り、日本でプロ野球選手のまばゆさを知った。

24日の敗戦後、記者団からウォーカーの送球ミスについて問われた元木ヘッド兼オフェンスチーフコーチは「まあこれから練習しなきゃいけない」と話す一方で「そういうことを言ってたら話にならない。打ってくれてるし」と擁護した。3安打した26日DeNA戦後も「練習も日頃からしっかりやっているから」と言った。

言葉も通じない異国の地で、必死で結果を残そうとする姿に共感が広がる。「がむしゃら」は万国共通の言語かもしれない。【三須一紀】