7月29日にあった第93回都市対抗野球大会の決勝戦で、ENEOS(横浜市)が12度目の優勝を果たした。

プロ野球・広島にも社会人出身の選手は数多くいる。今季はドラフト2位森翔平投手(24)が三菱重工Westから入団。同3位の中村健人外野手(25)はトヨタ自動車から加わった。

同6位で大阪ガスから入団した末包(すえかね)昇大外野手(26)は、社会人野球の醍醐味(だいごみ)は「負けたら終わりのトーナメント」と語る。

「もちろんプロ野球でも負けていい試合はない」とした上で「あのスリルというか、緊張感は社会人野球ならではですね」と魅力を口にする。

末包が所属していた大阪ガスは言わずと知れた社会人野球の名門。社会人日本選手権では現在2連覇中だ。都市対抗野球が東京ドームを中心に行われることに対して、日本選手権は京セラドームを中心に開催される。大阪ガスの本社もある大阪市。それゆえに「会社事情のプレッシャーも加わる」と末包は苦笑いする。

「営業部の人から、『明日お得意様と試合見に行くから負けるなよ』とか言われて…」

そういった独特の“重圧”が加わるのも社会人野球のおもしろさだったと振り返る。

「ああいった経験をできたというのは今に生きています。負けたら終わりのプレッシャーは良い意味で緊張感がすごかった」

アマチュア時代に経験した“緊張”が、末包を強くした。【広島担当=前山慎治】

大阪ガス時代の末包昇大(2021年12月2日撮影)
大阪ガス時代の末包昇大(2021年12月2日撮影)