東京ドームでのナイター3連戦を終えた翌朝、新幹線で長期ロード2カード目の広島へ向かった。

新幹線を降りると、目の前の階段を阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(32)が降りていた。前日4日にウィルカーソンが先発するため、外国人枠の関係もあり出場選手登録を抹消されていただけに驚いた。「また、野手で誰か新型コロナウイルス陽性者が出たのだろう」。そう思ったが、コロナ禍で以前のように駅などでの取材はできないため、そのまま眺めた。

そり上げた頭に大きなヘッドホンをつけ、青いバットケースを背負っていた。すぐに野球選手とバレたのか、周囲の客から手を振られるとロハスは笑顔で応えていた。3日巨人戦で代打出場し、ドームの天井に当てる二飛に倒れ、打率は1割台。また1軍に戻るためには2軍でかなりアピールしないと難しい状況だった。だが、その時点でチームトップ22本塁打、71打点の5番大山が陽性となり、代役として中1日でお呼びがかかった。

5日広島戦でいきなり5号2ランを打つなど代替での昇格後は13試合で打率3割6分6厘(41打数15安打)、4本塁打、10打点と打ちまくり、大山復帰後も欠かせない戦力となった。「抹消された日は休みをいただいたのでメンタルをしっかり休めたいなと思って休んでいました」と、あの1日で気持ちを切り替えていたことを明かした。

メジャー経験はないが、父ロハスはエクスポズ(現ナショナルズ)などで通算34勝を挙げた投手。20年に韓国で47本塁打、135打点を放ち、推定年俸2億6300万円の2年契約で阪神と契約。1年目はコロナ禍で来日が遅れるなどの不運もあった。今季も代打が多く「今年、自分も思ったような結果が出せていなかった」と悔しさいっぱいのシーズンを送ってきた。

それでもライバルなはずの途中入団のロドリゲスを、陽気に受け入れ一緒に一塁でノックを受ける。両打ちだが、右打席での成績が上がらない中、あえて右の打撃投手に右打席でフリー打撃をするなど努力を重ね、ようやく日本の野球に順応してきた。

左翼守備も危なっかしいが、守りも走塁も常に全力なのは、見ていて気持ちがいい。右打席での打率が2割7分8厘と、数字上は左打席より打率もよくなっている。「今は本当にチームの勝利のためだけにプレーしたい。自分が頑張って日本シリーズ進出に少しでも手助けできるように力を出せれば」。真面目にあきらめず努力してきた助っ人が、残り28試合、そしてポストシーズンで神がかり的な活躍をする姿を見てみたい。【阪神担当 石橋隆雄】

守りも走塁も常に全力、左二塁打で、ヘルメットを飛ばして二塁に向かうロハス(2022年8月19日撮影)
守りも走塁も常に全力、左二塁打で、ヘルメットを飛ばして二塁に向かうロハス(2022年8月19日撮影)