虎の「浜の湯」コンビが、JFKを超えた。阪神の浜地真澄投手(24)は、今季52試合に登板し、防御率1・14。湯浅京己投手(23)は59試合で1・09。同一球団で複数の投手が同じ年に50試合以上に救援登板し、防御率1・20未満はプロ野球5度目(今季ほかに中日=R・マルティネス56試合0・97、ロドリゲス56試合1・15、ソフトバンク=嘉弥真56試合防御率0・99、藤井55試合1・12、モイネロ53試合1・03)。阪神では初の出来事だ。ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の3人ですら、こんなそろい踏みはできなかった。

まずは浜地だ。抜群の制球力が渋い輝きを放った。コントロールに加え、三振を奪う能力も計るセイバーメトリクスK/BB(奪三振数÷与四球)は7・60に達した。38奪三振に対し、与四球わずかに5。年間リリーフ登板50試合以上の阪神投手の中では、歴代1位である。

一方の湯浅は、今季45ホールドポイント(HP)で最優秀中継ぎ投手のタイトルに輝いた。この数字は、球団のシーズンHP数歴代3位に該当する。07年久保田55HP、05年藤川53HPに次ぐ立派な数字だ。58イニングを投げ67K。奪三振率10・40は、今季50試合以上に救援したセ・リーグ投手の中で最高だった。

浜地は5年目の昨季、わずか登板4試合にとどまっていた。昨季3年目だった湯浅に至っては、たったの3試合だ。いずれも敗戦処理としての登板がほとんどだった。そんな2人が一気に成長を遂げ、ブルペンの支柱となったのだ。

今季推定年俸は浜地700万円、湯浅500万円。合わせて1200万円のお値打ちペアが、高給取りの強打者たちを牛耳った。なんとも痛快なシーズンだった。

ところで、今季この2人が同じ試合にそろって登板したのは27試合。チームは13勝11敗3分けと、わずか2つの勝ち越しにとどまった。残念ながら「必勝リレー」誕生は来季に持ち越しだ。1軍の確かな戦力としては、来季が実質2年目となる「浜の湯」コンビ。他球団のマークに打ち勝ち、JFKに続く名ユニットとなってほしい。

【記録室 高野勲】(スカイA「虎ヲタ」出演中。今年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

阪神湯浅京己(2022年10月10日撮影)
阪神湯浅京己(2022年10月10日撮影)