阪神のドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)には、ぜひとも「球団初」の期待に応えてもらいたい。阪神にドラフト最上位で入団した右打ちの外野手は、森下が初である。

阪神が初めてドラフト1位で外野手を獲得したのは11年伊藤隼太(慶大)。以後、15年高山俊(明大)、18年近本光司(大阪ガス)と合わせて、過去3人しかいない。いずれも左打者である。

球団初の外野手最上位入札は、07年高校生ドラフト1巡目の中田翔(大阪桐蔭)だった。4球団が競合し、日本ハムが落札に成功。森下は中田以来、チーム2人目の右打ち外野手のドラフト最上位入札選手である。

08年には外野手の松本啓二朗(早大)に入札。当たりくじを引き当てたのは横浜(現DeNA)だった。18年は初回に藤原恭大(大阪桐蔭)に入札も、当てたのはロッテ。2回目の辰己涼介(立命大)も楽天が獲得。右打者は中田だけで、ほかの3人は左打者だった。昨年のドラフトで阪神が1回目に入札した浅野翔吾(高松商)は、高校時代スイッチヒッターだった。

阪神の日本人外野手といえば、近年は左打ちのベテラン移籍選手の天下だった。FAで広島から加わった金本知憲、メジャー帰りの福留孝介、そしてFAでオリックスから加わった糸井嘉男といった面々だ。

生え抜き右打ち外野手の2桁本塁打の直近は、17年中谷将大の20本。もっとも中谷の2桁本塁打はこの1度だけに終わった。近年の成功例としては、在籍中145本塁打の新庄剛志、同70本の浜中治が目立つ程度だ。新庄はメジャーに挑戦し、浜中はトレードで虎から去った。

森下は現在、右足のコンディショニング不良のため、新人合同自主トレが別メニュー調整になっているという。ここは焦らず、じっくり開幕に照準を合わせてほしい。そして阪神では貴重な「日本人右打ち外野手」の成功例となってほしい。

【記録室 高野勲】(スカイA「虎ヲタ」出演中。22年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)