WBC決勝ラウンドに備え、選手同様、記者も決戦の地に入った。米国時間17日午後6時。マイアミ国際空港に到着した。成田空港からシカゴ・オヘア国際空港を経由し、計17時間のフライト。羽田空港からチャーター機を用意し、通常にはない「東京-マイアミ」の直行便で現地入りした侍ジャパンが、かなりうらやましくなる長時間の移動だった。

個人的には奇跡的な出会いがあった。乗り継ぎのため立ち寄ったシカゴで、大学時代のアルバイト仲間に約5年ぶりに再会した。18年3月、卒業式でアルバイト先で一緒に写真を撮ったのが懐かしい…。そういえば、客室乗務員になると言っていたな…。少し感慨に浸っている記者のことはお構いなしに、その友人は言ってきた。

「WBCに取材に行くなら大谷翔平のグッズを買ってきてね!」

野球ファンだった記憶はないが、今はすっかり大谷翔平投手(28=エンゼルス)のとりこらしい。普段、仕事中に空間をともにするファンや記者には野球好きが多い。野球への興味が薄い層まで関心を持たせる大谷のスーパースターぶり、WBCの熱さをあらためて感じた瞬間だった。

現地は暖かい。シカゴは気温0度という機内アナウンスがあったが、マイアミは夜でも20度を超えている。記者より12時間以上も早く現地に着いた選手たちは、ホテルに併設されているであろうジムで、近隣の大学グラウンドで汗を流していた。全ては世界一になるために-。時差ボケもあるだろうが、選手たちは体、メンタルを含めコンディション管理を徹底している。現地時間20日の準決勝メキシコ戦へ、戦いはとっくに始まっているというわけだ。

宮崎強化合宿から侍ジャパンを追い続けて1カ月。選手たちの熱、相手国の熱、関係者の熱、ファンの熱。現地でしか分からない情報をお届けしてきたい。【侍ジャパン担当=中野椋】