仙台で行われている楽天の秋季キャンプに行ったら、懐かしい顔に会えた。牧田明久育成外野守備・走塁コーチ(41)。引退して7年が経つが、引き締まった細マッチョ・ボディは相変わらず。現役時ほどではないというが、今でもトレーニングを続けているそうだ。現役後半と同じ、身長182センチ、体重85キロをキープ。同じ40代として、頭が下がる。
85キロは「ベスト体重でした」。簡単に手に入れたわけではなかった。00年ドラフト5位で近鉄入団。高卒でプロ入りした時の体重は72キロしかなかった。一般人としてはスリムでちょうどいいと言えるが、プロで戦っていくには物足りなかった。「1年で1キロずつ増やしていって、12年目ぐらいで85キロになりました」。
秘訣(ひけつ)はあったのか。「特になかったですね。好き嫌いはなかったので、何でも食べました。ご飯食べて、ウエートして、プロテイン飲んで。そしたら、徐々に増えていった感じです。今は栄養士さんも付いてくれているし、アドバイスをもらって、やってくれればいいと思います」。プロで体重を増やすことに苦労する選手は少なくない。そういう意味では、牧田コーチの例は参考外? かもしれないが、1つ大事なことを話してくれた。それは…。
「自分で体重を増やしたいと、ちゃんと思うことですね。僕の場合、体重が増えるにつれて、打球が飛ぶようになりました。それまで外野フライだったのが、ホームランになった。率も上がりました」
体重を増やす目的・狙いを理解して、主体的に取り組むことが大切というわけだ。また「僕は『ちょっとずつ』だったのが、良かったと思います。急激に増やすとバランス的に崩れるし、けがのリスクもあるので」と言い添えた。
個人的に、牧田コーチの“本塁打”で思い出す1本がある。公式戦ではなく、11年の春季キャンプだった。若きエースの道を歩んでいた田中将大投手から、フリー打撃で逆方向の右翼へ。久米島野球場のネットを豪快に揺らした。田中が「グッドパワー。びっくりしました」と驚けば、就任1年目の星野監督は「だからイチ押しと言っただろ! オレの目に狂いはない」と膝をたたいて喜んだ。「ブレークのにおいがぷんぷん」と、カラー紙面で大きく取り上げた。
11年といえば、ちょうどベスト体重に達した頃。理想のボディを手に入れ、持ち前のパンチ力で新指揮官へのアピールにも成功した瞬間だった。同年は2本塁打にとどまったが、翌12年には自己最多の9本塁打を記録した。後から分かることだが、統一球の問題で本塁打が激減したシーズン。基準通りのボールだったら、2ケタをクリアし、もっと打っていたはずだ。
さて、仙台で続く秋季キャンプ。春と違い、若手が中心。まだまだ成長途上の選手も多いが、今江新監督の目に留まる選手が、どれだけ出てくるか。牧田コーチは「選手をやる気にさせるのが僕の仕事」と引き締まった体で、グラウンドに立っている。【11~14年楽天担当 古川真弥】




