日本ハムからポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指した上沢直之投手(29)が11日(日本時間12日)にレイズとマイナー契約を結んだ。メジャー契約のオファーもあった中での選択。同システムでドジャースに移籍した山本、カブスへ移籍した今永と比べてSNS上では日本ハムに支払われる譲渡金が少ないことを指摘する“苦言”も見受けられた。でも、個人的にはお金では測れない、無形の大きな力をチームに残してくれたと感じる。

14日に沖縄・伊江島で自主トレを公開した、上沢と同期入団で同学年の松本剛は言った。「こいつ、すげぇなってほんとに思った。あ、そこを選ぶのねって。僕もすごいスイッチ入った。もう1回、俺も頑張ろうと。もっともっと向上心を持って、もっともっとうまくなりたいと思って、より一層やらなきゃいけないなって思わせてくれた」と、やる気がみなぎっていた。

同じく伊江島で自主トレ中の野村は上沢と仲が良かった。野村が1年目に股関節を手術した時に、上沢も打球が左膝に直撃して手術。一緒にリハビリ生活を過ごしたのが、最初の接点で徐々に仲が深まった。

野村によると「去年も、ほぼ後半は上沢さんと僕と2人で飯に行っていました。(遠征先の)登板日の夜に連絡が来たりとか、その場で飯行こうって言われて。『お前とは波長が合う』と言われました」と、かわいがってもらっていた。

移籍決定の一報が入った後には「もし、メジャーに行けなかったら行こうって約束していた店もあったんで、そこは1人で行ってきます、とラインは入れました」という野村。上沢の決断に「より厳しい環境に行っている。(そういう姿勢、人間性を)追っかけていきたい、そういうとこを目指していきたいなと思いましたね、やっぱり」と心を新たにしていた。

そうやって刺激を受けたのは、この2人だけではないだろう。投手と野手の垣根なく、人望が厚い右腕の覚悟がにじむ決断がチーム内に与えるインパクトは強い。プレーする場所は遠く離れてしまっても、2年連続最下位から一気に覇権奪回を目指す日本ハムの原動力の1つになるのではないか。そうなれば、最高の置き土産だと思う。【日本ハム担当=木下大輔】

ベンチから試合を見つめる日本ハム野村(左)と上沢(2022年6月撮影)
ベンチから試合を見つめる日本ハム野村(左)と上沢(2022年6月撮影)