巨人ドラフト1位・西舘勇陽投手(21=中大)の“逆算力”が光る。

新人合同自主トレは12球団で最も遅い13日にスタートした。球団によって調整ペースはさまざまで、第1クールからブルペン入りする投手も見られた。だが巨人の場合は投手、野手全員のメニューは完全に球団が管理している。「1人1人に合わせて…」ではなく、「投手」と「野手」でメニューが決まっている。

キャッチボールの距離、時間、ブルペン入りの頻度と球数…。1軍キャンプスタートが決定している西舘ら5選手もケガ防止に細心の注意を払いながら体を動かしている。

キャンプインを前に、桑田2軍監督は投手陣の調整について、以下のように話していた。

「シーズンは長いし、開幕はまだ先。ここ何十年の日本の野球界はキャンプが重要視されている。2月1日にピークじゃなくて、徐々に開幕、そしてシーズンに持っていけるように」

あくまで見据えるのは開幕。合同自主トレからもこの方針がうかがえる。

西舘がブルペンで立ち投げを行ったのは第2クール初日。その後徐々に頻度を増やし、最終第4クール初日の24日、6度目のブルペン入りで初めて捕手を座らせた。

ここで西舘が“逆算”を体現した。走者をイメージして1度、2度と仮想の走者に目をやってからの投球を披露した。7割程度の力で、直球の他に得意なカットボールとスライダー含む全5球種を30球。初の本格投球でカーブ以外の変化球を投げるのも初。その中で自身の投球を気持ち良く行うのではなく、走者を背負った実戦を想定していた。その理由を明かした。

「これからボールの方に集中したいので、先にその(実戦での)動きの確認を」

ブルペンでの投球が目的ではなかった。開幕1軍入りを果たすための逆算。実戦は昨秋のリーグ戦以来約3カ月遠ざかっている。キャンプの実戦登板で慌てないための確認作業だった。

ブルペンで投げて満足ではない。投球後に繰り返す言葉は「まだこれから」。最速155キロの即戦力右腕は常に一歩先を見据えている。【巨人担当=黒須亮】

自主トレで笑顔でキャッチボールする巨人西舘(撮影・宮地輝)
自主トレで笑顔でキャッチボールする巨人西舘(撮影・宮地輝)
自主トレでキャッチボールする巨人西舘(撮影・宮地輝)
自主トレでキャッチボールする巨人西舘(撮影・宮地輝)