普段のちょっとした行動に、その人の人間性に触れる時がある。DeNA戸柱恭孝捕手(33)は、1月に実施した2年目の松尾汐恩捕手(19)との自主トレ中、松尾本人とともに両親の思いにも気を配った。大阪桐蔭時代から寮生活ですでに親元を離れているが、プロ初のオフで、松尾にとっては未知の期間。

戸柱 わからないことが多くて、汐恩も不安だと思うんですけど、もしかしたら、それ以上にご両親が心配されてるんじゃないかなと。極力、そういうのをなくすようにしたいなと思って。

自主トレ中は基本的には衣食住をともにし、お風呂など、ほとんどの時間を共有したが、オフ前日やオフの日は京都の実家に戻って、心身ともにリフレッシュの時間をつくった。日々、ハードな練習で体を追い込む松尾に、オンとオフの切り替えをさせることと両親を安心させる意味も込められた。

戸柱 自分も親になって、親の気持ちがわかったというか。親としては、顔をちょっと見るだけでも違うと思いますし、汐恩もしっかりとリセットして、集中した中で練習をやってほしいので。

干支(えと)で言えば一回り以上離れ、練習方法や育った環境も大きく異なる。自分の調整にも力を注ぎながら、後輩と切磋琢磨(せっさたくま)した時間は、刺激的であり、実りも多かった。

自主トレの取材中、松尾から「練習に取り組む姿勢であったり、トバさんは常に周りを見てるので、そういったところは、自分としても取り入れさせてもらってる部分もあるんで、いろいろ感じながらやっています」と感謝されると、すぐに突っ込んだ。

戸柱 いやいや、守備のこと言えよ(笑い)。

昨年、松尾に自主トレの参加をお願いされた後、松尾に直接聞き取りしながら、「Amazon」で重さが異なるボールなどトレーニング道具を複数購入。基礎トレーニングを反復し、着実に礎を築いた。充実したトレーニングとともに、突っ込まれた松尾の笑顔が、2人の良好な関係性を物語った。【久保賢吾】

坂道でダッシュを繰り返すDeNA戸柱(左)と松尾(2024年1月22日撮影)
坂道でダッシュを繰り返すDeNA戸柱(左)と松尾(2024年1月22日撮影)