<オープン戦:ソフトバンク1-4西武>◇15日◇ペイペイドーム

開幕まで残り2週間となったが、まだまだソフトバンクのサバイバル戦は続いている。宮崎キャンプからA組入りし、オープン戦も1軍に同行している仲田、川村、緒方の育成野手の3選手にとっては、支配下入りへの正念場を迎えた。

「人生で一番の歓声をもらった打席だったんじゃないかな」。試合後、小久保監督は8回2死満塁の場面を振り返った。打席には途中出場の仲田が立った。結果はカウント2-2から、水上のスライダーに二ゴロに倒れた。スタンドからは、大きなため息が漏れた。快打を飛ばしていれば、気分も違っただろう。だが、小久保監督が責めることはなく「より一層、支配下をつかみたいと思う打席だったと思う」と、仲田の気持ちを代弁するように話した。

ケガさえなければ、3選手ともに支配下入りへ「当確ランプ」をともしているように感じる。ただ、弱肉強食のプロの世界。慢心や油断は禁物。常にアグレッシブに「今」に向き合わなければ、成功はつかめるものではない。試合前のバント練習。バントの名手でもある今宮がマシン相手に練習していると、緒方は今宮の前方に回ってバットの出し方など1球ごとにリズムを合わせて感覚をつかんでいた。キャンプから1カ月半にもなる長く厳しい「試験」の日々だが、まだまだ諦めるわけにはいかない。

ウエスタン・リーグがこの日、開幕した。ホークス2軍は本拠地タマスタで中日と対戦。残念ながら勝利を挙げることはできなかったが、この試合で必死に腕を振る男の姿があった。21年オフに中日からFA加入した又吉の人的補償でドラゴンズへ移籍した岩崎だ。3番手で9回に登板。1安打1四球を与えたが無失点で抑え、完封リレーを完結した。右肘手術のため昨年から背番号「203」を背負い、育成契約。ホークス時代の17年に40ホールドを挙げ最優秀中継ぎ賞を手にした男の復活への1歩となった。「怖さはまだありますが、頑張ります」と気を引き締めるように言った。今年10月で35歳になる。ベテラン右腕の再起にかける姿は何ともたくましい。

それぞれに桜咲く、季節であってほしい。【佐竹英治】

ウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦に3番手で登板した岩崎
ウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦に3番手で登板した岩崎