侍ジャパンが世界一を目指す戦いの中、3月に侍戦士だった広島田村俊介外野手(21)は宮崎・日南の秋季キャンプで自分自身と戦っていた。
ちょうど1年前の秋季キャンプ中に行われた侍ジャパンとの練習試合で井端監督の目に留まり、今年3月の欧州代表戦の侍ジャパンに抜てきされた。広島でも開幕スタメンに起用されるなど、外野の一角を期待された。だが、相手のマークに苦しんだ。低め中心の配球から縦変化の球種の組み立てに、直球に力負けしないように取り組んできた打撃は空回りした。成績は低空飛行を続け、5月8日に2軍降格。再昇格をつかみとるまで、3カ月の時間を要した。打率は37試合で昨季を下回る打率1割9分8厘。本塁打はなく、5打点に終わった。
シーズン前の期待の大きさが田村を苦しめた側面もあったかもしれない。新井監督は「周りがハードルを上げすぎたところもあったので、そこはかわいそうだった。でも、野球に対して賢いし、練習に取り組む姿勢も素晴らしいものがある。来年こそはと思っているんじゃないかな。今年1年、彼にとってはいい経験になったと思う」と田村の思いに寄り添う。
シーズン終了とともに、とらえるポイントを体に近づける打法に取り組む。「打球がホームベースに当たるくらい」に感じるほどの意識で、フェニックスリーグでは詰まらされる打球も目立った。それでも逆方向への長打を増やすため、違和感を感じながらも我慢しながら継続してきた。
17日の紅白戦まで実戦2戦続けて左中間を破る二塁打を放った。「逆方向に引っ張るイメージも付いてきて、結果も出てきた。やってきたことが間違いじゃないなと、すごく感じています。立場的にも、逆方向に強い打球を打たないといけない」。我慢してきたことで新たな打法に違和感はなくなり、確かな手応えを得た。新井監督も「反対方向に強い打球が行っている。自分のポイントでしっかり振り切れないと、逆方向にああいう打球は飛ばない」と目を細めた。
苦しんだシーズンを越え、充実の秋を過ごした。自分自身との戦いの先には、チーム内での戦いが待っている。再び日の丸を背負うには、まだまだ田村にはやらなければいけないことがある。【広島担当 前原淳】




