<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク5-2巨人>◇10日◇みずほペイペイドーム
ユニホームは泥だらけのままだった。ソフトバンク野村は8回1死満塁から今宮の左前打で決勝のホームを駆け抜けた。2-2の同点で迎えた8回の第4打席は先頭打者だった。野村のバットが勝負を決める起点となった。カウント2-2からの5球目。シュートをしぶとく中前に運んだ。この日3度目となるイニング先頭打席。2回の第1打席では一塁内野安打。ベースカバーに入った巨人先発井上との競争になったが、野村は果敢にヘッドスライディング。きわどいタイミングだった。判定はアウトだったが、ビデオ判定でセーフを勝ち取った。泥まみれの安打だった。
栗原の打撃不振もあって8日のヤクルト戦(神宮)からサードで先発出場。今宮もチームに復帰した。長年レギュラーを張ってきた選手ならば、首脳陣の目も厳しくはないが、野村の立場は「生き残り」へ1打席も気を抜けない。今宮が不在のときは主に遊撃を守ったが、復帰後は二塁、三塁と守備位置は変わった。「戦う」場所が変わっても、気を抜く時間はないのだ。
「どうやって打っていいかわかりません…。どうしたらいいんですかね」。開幕直後は暗い顔をして球場を後にしていたが、主軸の故障で先発出場し始めた5月からは打撃も上昇。少しずつ笑顔が見られるようになった。それでも慢心する立場にはない。2回に見せたヘッドスライディングにはそんな必死さが伝わってきた。
本拠地のゲーム後は必ずロッカー室奥にある打撃マシンに向かいバットを振り続けている。プロ1年目の22年に新人の球団記録となる10本塁打を放ってデビュー。ここ2年は不振に終わった悔しさは野村本人が一番感じている。8回は一気に3得点で勝負を決めG倒に成功。厳しい生存競争を続ける男の気迫が勝利に導いた。




