「金の卵に刮目(かつもく)せよ」と題し、プレミア12に出場する各国の注目株を紹介する。

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東京オリンピック出場権獲得へ、米国が大国の威信をかけた代表チームを形成した。

 
 

メジャー40人枠外の選手という大会出場の条件を満たすマイナーの選手からの人選としては、ベストに近いメンバーを招集。大会直前に監督が交代する大きな変更はあったが、代表チームの編成部門は完全に分離しており、チーム編成上の影響はなかった。

攻撃陣は、近い将来にメジャー昇格が期待されるスター候補ぞろいだ。エンゼルス傘下3Aソルトレークに所属するジョー・アデル外野手(20)は、17年ドラフト1巡目全体10位で入団し、MLB公式の有望株最新格付けで全体5位にランクされた超有望株だ。

近年のメジャーでは、昨季新人王に輝き2年目の今季は41本塁打を放ち盗塁王に輝いた21歳のアクーニャ外野手(ブレーブス)、今季は34本塁打に110打点をマークしチームの主砲である21歳のソト外野手(ナショナルズ)のように、20歳前後でデビューと同時にトップスターになる若手が増えている。パワーとスピードを兼ね備えたアデルもメジャー昇格後の即戦力と期待されており、将来的にはMLBの顔になり得る逸材との声もある。

同最新格付けの全体23位で、ブレーブス傘下3Aグウィネットのドルー・ウオーターズ外野手(20)は、17年ドラフト2巡目で入団し、1Aと2Aでオールスターに選ばれた成長株。このまま順調にいけば、1~2年の間にメジャー昇格が期待されている。

7月、楽天戦に登板するディクソン
7月、楽天戦に登板するディクソン

投手陣も、オリックスのディクソンとメジャー経験のあるベテランが4人いるが、若手中心の人選になっている。

注目は、今年6月のドラフトで4巡目で指名され海軍学校からレッドソックスに入団した右腕ノア・ソング(22)だ。最速159キロを超えることもある剛腕で将来のエース候補だが、軍学校に入ると兵役に就くことが義務づけられており、本格的にプロ野球選手として始動するのは数年先になる。

メジャーのスカウトからお墨付きをもらった実力者だが、MLB公式の有望株ランキングで上位に入っていないのはそのためだ。従軍中に身に危険が迫る可能性もあり、本人はこの大会が野球選手として最後になる可能性も覚悟し、全力で試合に臨む姿勢だという。このソングを筆頭に、ハイレベルの若手投手が名を連ねている。(つづく)【水次祥子・山下翔悟】