<センバツ高校野球:福岡大大濠2-1大崎>◇22日◇1回戦

インパクトは大きくなくても、キラリと光るプレーがある。プロ野球に選手、コーチなどで40年以上携わってきた田村藤夫氏(日刊スポーツ評論家)が、センバツで気になった選手たちを紹介する。

福岡大大濠対大崎 3回表福岡大大濠無死、右翼線へ二塁打を放つ友納(撮影・上田博志)
福岡大大濠対大崎 3回表福岡大大濠無死、右翼線へ二塁打を放つ友納(撮影・上田博志)

打者がボールをしっかり見ることは大事であり、とりわけ長く見極めることは大きな強みになる。福岡大大濠の三塁手・友納周哉内野手(2年)のバッティングに長所を感じた。第1打席は外のスライダーを中前打。第2打席はインコースのストレートを右翼へ二塁打。いずれの打席でも、タイミングの取り方がとても良かった。

ボールを最後まで見ることができている。言い換えればボールを見る時間が長い。左打者の友納の場合、左足に重心を残している時間が長い。右足は上げるが、ギリギリまで左足に体重が残っているからしっかり最後までボールを見ていられる。第4打席では1-2と追い込まれた4球目のストレートを空振り三振したが、これもボールが見えていたからこその空振りとの印象だった。追い込まれており、ストレートと変化球の両待ちという中で、コースとしてはボールだったと思うが、ストレートを見極め、思わず振ってしまった、と見てとれた。

捕手の立場からすれば、長くボールを見る打者はイヤなものだ。タイミングが合っていると感じるから余計に神経を使う。これから友納がこの長所を生かしてどんなバッティングを身につけていくか。次の試合が楽しみだ。三塁手としては、3回に平凡なゴロを捕り損ねた。直後に捕手川上が盗塁を刺してくれたが、守備でも成長を期待したい。

この試合ではこの捕手川上の強肩が勝敗を分けた。2点を追う大崎は7回に1点を奪い、なお2死一、二塁としたが、二塁走者田栗がわずかに飛び出したところで、川上がピンポイントのけん制で刺した。上体が起きたままでのスライディングだったため、川上の送球は田栗の腰付近に行き、すぐタッチできた見事なけん制だった。

川上はワンバウンドのブロッキングではさらに練習を積む必要があるが、強肩とコントロール、キャッチングにはレベルの高さを感じた。