<指名を待つ男たち(5)>

ドラフト前最初で最後の今秋リーグ戦に並々ならぬ決意で臨む。9日からのチーム初戦を前に、法大・山下輝投手(4年=木更津総合)は「ラストチャンス。ちょっとハラハラしますが、一発勝負という感じで戦いたい。売りは力強いストレート。それをお見せできればベストかなと思います」と宣言した。

法大・山下輝
法大・山下輝

最速151キロの大型左腕で、上位指名の可能性もある。1年春に左肘を痛め、12月にトミー・ジョン手術に踏み切った。その後は順調に回復。3年春に神宮デビューし、中継ぎで登板を重ね、4年春には先発で完投もした。さあ最後の秋、ドラフトへ猛アピールだ、と思ったら、部内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。8月後半から約1カ月、活動できなかった。

夏の取り組みに手応えを感じていただけに「本当に大事な時期。悔しかった」と唇をかんだ。ただ、9月25日にチーム練習が再開する際、加藤重雄監督(65)の「(東京6大学の)他の5大学の皆さんに感謝の気持ちを伝えながら参加しよう」という呼び掛けに、前向きになれた。リーグ戦参加も危ぶまれたが、日程変更を他大学が受け入れてくれた。ドラフト2日前と前日の2試合、プロにアピールするチャンスができた。

5月23日、東大戦に先発した法大・山下輝
5月23日、東大戦に先発した法大・山下輝

目標は高校の先輩楽天早川。「マウンドで顔に出さない。平常心を見習いたい」。高3の夏、「チームの柱が崩れると、チームも崩れてしまうよ」と金言をくれた。山あり、谷ありの4年間となったが「乗り越えたら、いいことが待っている」と信じ、柱としてマウンドに立つ。【古川真弥】(この項おわり)