<センバツ高校野球:広陵5-0二松学舎大付>◇20日◇2回戦

広陵・中井哲之監督(60)は快投の高尾を8回で代え、9回は倉重に託した。2人の無失点リレーで初戦を飾った。控えを4人使い、主力の守備位置も変更。「これからのいろいろなことを想定して」。抜かりなく初戦を飾った。

エース高尾(右)に声をかける広陵の中井監督(撮影・宮地輝)
エース高尾(右)に声をかける広陵の中井監督(撮影・宮地輝)

忘れられないセンバツは91年大会。「決勝戦も、三田学園戦も印象的です」。監督就任から丸1年、28歳で臨んだ初の甲子園。三田学園(兵庫)との初戦は9回終了時に同点で雨天再試合という大熱戦を制した。

決勝の相手はエース上田佳範がいる松商学園(長野)。7回に3点差を追いつき、9回にサヨナラ勝ち。65年ぶりに春の頂点を極めた。今年のように小土居昭宏、塩崎貴史のダブルエースの継投がはまった。

コーチを4年務めてからの監督就任だったが、風当たりは強かった。「いろいろなことを言う方がいらっしゃる。あんな若造にできるのかって。『くそったれ、見とけよ!』って。思ったことをそのままやったろうと。打順や起用も感じたままって感じでね」。

両右腕にほぼ交互に試合を託していた。ただ2回戦の春日部共栄(埼玉)戦は4回に塩崎が暴投した瞬間、小土居にスイッチ。ひらめき? の継投が功を奏して逆転勝ちした。采配がことごとくプラスに出た大会だった。「めちゃくちゃきっぷがいい。それを甲子園でできたのがすごいでしょ? 勝負勘、負けん気というか(笑い)」。

怖さを知ったのはその後だった。翌春も連続出場したが、その後8年も甲子園から遠のいた。「勝てなくなる時期が続くと『何でかな?』と考える。迷いが出る。その時は勝った時のビデオを何度も見ました。今の自分だったらどういうサインを出したかなとか」。

03年春に自身2度目の優勝。91年とは違う感慨があったのは言うまでもない。今のチームは小林主将に任せて、細かい指示はしていないという。「選手を信用している監督が素晴らしい、って書いてね」。全ての経験が今につながっている。【柏原誠】